画像所見において〇〇サインはどのモダリティにも存在しMRIも例外ではありません。
もしかするとシーケンスがたくさんあるMRIはサインが一番多く存在するかもしれませんね。
そのため全てを把握するのは難しく今回は出題されたもののみを扱っていこうかと思います。
過去問からの出題
第6回-4
第6回-4
次の記述について正しい文章を選択して下さい。(正解 3 つ)
1. 神経鞘腫は造影効果が低い。
2. 下垂体微小腺腫は早期造影 T1 強調像で、正常下垂体よりも造影効果は低い。
3. Creutzfeldt-Jakob 病(クロイツフェルト・ヤコブ病)では、拡散強調像で大脳皮質が高信号な場合がある。
4. 膠芽腫は造影 T1 強調像で dural tail sign が特徴的である。
5. 髄膜炎の造影 T1 強調像では脳表髄膜に造影効果が認められる。
1.×高い
2.○正常下垂体が先に染まる
3.○
4.×腫瘍周辺が染まる。dural tail signで有名なものは髄膜腫
5.○
第7回-11
第7回-11
第6回-4と同問
第8回-11
第8回-11
第7回-11と同問
第12回-49
第12回-49
関係のある組み合わせを選択して下さい。(正解2つ)
- 膵癌→ T1強調像 → 高信号
- 脳膿瘍→ 拡散強調像 → 高信号
- Dermoid cyst→ T2強調像 → Shading
- 急性期脊髄梗塞→ ADC-map → 低値
- 肝海綿状血管腫→ T2強調像 → 低信号
1.×低信号
2.○
3.×shadingはEndometrial cyst(チョコレート膿疱)、shadingは凝固血液を主とした壊死物質でありT2で低信号
4.○
5.×高信号
第12回-50
第12回-50
関係のある組み合わせを選択して下さい。(正解2つ)
- 肝細胞癌→ 造影 dynamic study → Corona sign
- 粘膜下筋腫→ T2 強調像→ Bridging vascular sign
- 椎骨動脈解離→ MR 血管像→ Pearl and string sign
- 急性期脳梗塞→ 拡散強調像→ Intra arterial signal
- 後十字靱帯損傷→ プロトン密度強調像→ Double PCL sign
1.○肝細胞癌の濃染に引き続き造影剤が周囲の肝実質に染み出していくかのような濃染所見
2.×漿膜下筋腫、子宮と腫瘤の間に造成血管のflow void
3.○MRAで血管内腔の拡張と狭窄を反映する所見
4.×FLAIR、flow voidの消失と血液のT1短縮により閉塞した血管が高信号となる所見
5.×半月板断裂、断裂片がPCLの下方にある時sagittalでPCLが2本に見える所見
第13回-16
第13回-16
関係のある正しい組み合わせはどれか。(正解 2 つ)
1. 脂肪肝 ― Focal spared area ― T2 強調像
2. 脳梗塞 ― Intra-arterial sign ― 拡散強調像
3. 前立腺癌 ― 神経血管束 ― T1 強調像
4. 子宮頸癌 ― Stromal ring ― T2 強調像
5. 粘膜下筋腫 ― Bridging vascular sign ― T2 強調像
1.×脂肪肝において一部正常な肝臓が取り残され腫瘍のように見える、T1 out of phaseにて高信号
2.×FLAIR、flow voidの消失と血液のT1短縮により閉塞した血管が高信号となる所見
3.○前立腺の外側後方に小さな円形構造として描出、癌の進展により圧排、埋れて消失する
4.○T2axialにおいて高信号の頸管上皮と粘液を低信号の頸部間質が取り囲む像、Stromal ringが断裂している場合腫瘍が頸部を超え浸潤していることとなる
5.×漿膜下筋腫、子宮と腫瘤の間に造成血管のflow void
第14回-44
第14回-44
骨軟部のMRI検査に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。
1. Hill-Sacks lesion は上腕骨側に骨髄浮腫を示す。
2. 外側上顆炎は尺側の屈筋群起始部に STIR 像で高信号を示す。
3. 膝蓋軟骨軟化症は軟骨内部にプロトン密度強調像で高信号を示す。
4. Anterior talofibular ligament (ATFL)損傷は内果側に T2 強調像で高信号を示す。
5. 筋サルコイドーシスは T2 強調像で dark stripes sign と呼ばれる層状の低信号を示す。
1.○
2.×橈側
3.○
4.×ATFL:前距腓靭帯、よくある足関節の捻挫、外側の損傷
5.×Dark Star sign:高信号の結節内部に星型の低信号を呈する所見、Three stripes sign:中心の低信号一層を二層の高信号で挟んだ所見、dark stripes signは造語?
第15回-39
第15回-39
正しい組み合わせはどれか。2つ選べ。
- 卵巣癌 ― Bridging vascular sign ― MRA 像
- 肝細胞癌 ― Corona sign ― 拡散強調像
- 動脈解離 ― Pearl and string sign ― FLAIR 像
- 前立腺癌 ― 神経血管束 ― T1強調像
- 子宮頸癌 ― Stromal ring ― T2強調像
1.×漿膜下筋腫、子宮と腫瘤の間に造成血管のflow void、T2やT1
2.×癌周囲が濃染、造影
3.×血管内腔の拡張と狭窄を反映する所見、MRA
4.○前立腺の外側後方に小さな円形構造として描出、癌の進展により圧排、埋れて消失する
5.○T2axialにおいて高信号の頸管上皮と粘液を低信号の頸部間質が取り囲む像、Stromal ringが断裂している場合腫瘍が頸部を超え浸潤していることとなる
まとめ
神経鞘腫 schwannoma
シュワン細胞→抹消神経の構成細胞
そのシュワン細胞由来の良性腫瘍
軟部組織、脳神経、脊髄神経などに発生します。
MRIをやってて聴神経腫瘍の経過観察として撮影したことはありませんか?それも神経鞘腫です。
T1:軽度低信号〜等信号、T2:軽度〜著明な高信号、造影:著明な増強効果
target sign:中心部は腫瘍成分、辺縁部は粘液状のためにT2で中心低信号、辺縁高信号となることがあります。
下垂体微小腺腫
下垂体腺腫の小さいもの
1cm以下がmicro adenoma(微小腺腫)、1cm以上がmacroadenoma(大腺腫)
T1、T2では下垂体と等信号であることがあり指摘困難な場合があります。
dynamicが有用で、正常下垂体は血流豊富で増強効果が強く、腺腫はそれに劣るため注入1分前後でコントラストが明瞭となります。時間経過により腺腫も徐々に造影されます。
Creutzfeldt-Jakob 病(クロイツフェルト・ヤコブ病)
異常プリオン蛋白の中枢神経沈着により生じます。
DWIで大脳皮質や基底核に高信号が認められます。
その他FLAIRやT2でも同部位に高信号が認められるがDWIほどはっきりしないことがあります。
サインとして
pulvinar sign、Hockey stick sign:両側対称性の視床枕や視床背内側の高信号、PDWI、FLAIR、DWI などで認められる(pulvinar=視床枕)(ホッケーのスティックに見えることから)
膠芽腫
小児では小脳虫部、成人では小脳半球に生じやすい
T1:低信号、T2:不均一な高信号(充実部分は低信号)、造影:斑状からびまん性など様々、DWI:高信号、ADC:低値
髄膜炎
髄膜の異常増強効果→造影FST1、造影FLAIR、造影T1で髄膜病変部に増強効果が見られます。
DWI:脳表に沿う高信号、FLAIR:くも膜下腔の高信号・脳回の腫脹、皮質下白質の低信号
膵癌
T1:低信号、T2:等〜高信号、DWI:高信号、ADC:低信号
脳膿瘍
T1:低信号、T2:高信号・辺縁部は低信号、FLAIR:低〜軽度高信号、DWI:高信号、ADC:低信号、造影:リング状増強効果
Dermoid cyst(類皮腫)
表皮成分・毛嚢・皮脂腺などの真皮成分からなる
内容物はこれらから排出される角質や脂肪が混在
ちなみに角化扁平上皮のみで皮脂腺などを含まなければepidermoid(類上皮腫)
画像では脂肪を含む境界明瞭な腫瘍として認められるため、T1:高信号、T2:低〜高信号が混在する不均一、DWI:高信号、FS:信号抑制、
急性期脊髄梗塞
T2:高信号、DWI:高信号、ADC:低値、造影:増強なし
snake eyes sign、owlʼs eyes sign:前脊髄動脈症候群の場合に脊髄前角が両側性に高信号を呈する
肝海綿状血管腫
T2:高信号、T1:低信号、DWI:高信号、dynamic:周辺から中心に向かって徐々に造影(peripheral nodular enhancement(辺縁部結節性濃染))
Hill-Sacks lesion
上腕骨の外側後方が関節窩の前方部分との衝突によって生じる陥没骨折
Bankert lesion:同じく衝突により関節窩の前方部分の損傷
本か何かで見たんですが、「バーンとあたってバンカート、ザクっと刺さってヒルサックス」っていう秀逸なゴロがありました。
外側上顆炎
上腕骨外側上顆炎、通称テニス肘と呼ばれるものです。
短橈側手根伸筋の起始部が肘外側で障害されて生じると考えられています。
炎症のためFSで高信号となります。
膝蓋軟骨軟化症
膝蓋軟骨が軟化、膨化、亀裂、剥離などをきたす疾患です。
繰り返される負荷や形成異常などが原因と考えられています。
プロトン:高信号、T2:高信号、
Anterior talofibular ligament (ATFL)損傷
足関節の外側に位置する靭帯です。
捻って損傷します(捻挫)。
神経血管束
前立腺の前立腺後外側の神経と血管が集約的に存在する部位で小さな円形構造として描出、癌の進展により圧排、埋れて消失する
サイン
Focal spared area
脂肪肝における脂肪化を欠くあるいは弱い部分で、一部正常な肝臓が取り残され腫瘍のように見える
門脈血流の欠損部と一致することが報告されており、小腸吸収の脂肪栄養素を持たぬ静脈系が肝に直接流入し門脈血に変わって供血されるためと考えられています。
脂肪肝ではT1 out of phaseで低信号のところ、Focal spared areaで一部高信号となります。
Intra-arterial sign
別称:hyperintense MCA sign、hyperintense vessel signなど
通常FLAIRでは脳動脈はflow voidにより低信号ですが、梗塞が生じると途絶によりflow voidが消失し血液のT1短縮により閉塞した血管が高信号となる所見です。
心原性脳梗塞など比較的大きな血栓が詰まったときに生じやすく、MCAに多く見られます。
Double PCL sign
半月板がバケツ柄断裂を生じたときに断裂片が顆間窩に偏位しPCLの下方に存在する場合、SagでPCLが2本あるように見えてしまう。
弁状に断裂(flap断裂)し断裂片がACLの下方背側に存在する場合はACLが2本に見えるDouble ACL signとなります。
Stromal ring
T2Axにおいて高信号の頸管上皮と粘液を低信号の頸部間質が取り囲む像、Stromal ringが断裂している場合腫瘍が頸部を超え浸潤していることとなる
Bridging vascular sign
子宮には発生部位により、粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜下筋腫の3つに分けられます。
子宮と漿膜下筋腫の間に増生血管のflow voidが観察されます。7cm以上の筋腫では85%で認められるとされていますが小さい筋腫ではflow voidが認められないことがあり必ずしも観察できるサインではありません。
Beak sign:T2WIにおいて漿膜下筋腫と子宮の間に見えるクチバシ状のサイン
dark star sign、three stripes sign
Dark star sign:高信号の結節内部に星型の低信号を呈する所見、長期にわたる炎症に伴う収縮性変化が一因となっている可能性があるそうです。
Three stripes sign:低信号の一層を真ん中に、二層の高信号で挟んだ所見、中心の層は長期の炎症により線維化し低信号、周辺の二層は細胞成分に富み、活動性の肉芽腫を反映して高信号を呈すると考えられています。
どちらも下肢の筋肉(内側広筋vastus medialisなど)に認められている文献が多いので、下肢に多いのでしょうか。
T2かT2FSで観察されます。
Corona sign
肝細胞癌はダイナミックにおいて、動脈血有意なため動脈相で全体的に造影されます。しかし約1分後(門脈相)程度で中心部がwash outされ辺縁部だけ高信号で造影剤が周囲の肝実質に染み出していくかのような濃染所見が見られます。
コロナは太陽の外側のガス層であり皆既日食で観察されますが、このサインがその様子に似ているためこの名称となりました。
Pearl and string sign
椎骨動脈解離における血管の不整な拡張と狭窄
Pearl:真珠、string:糸
出題
第7回-11,第8回-11,第12回-49,第12回-50,第13回-16,第14回-44,第15回-39
参考書籍
頭部画像診断の勘ドコロ
腹部画像診断の勘ドコロ
骨軟部画像診断の勘ドコロ
よくわかる脳MRI
調べることが多すぎてページ数とか忘れました。
文献もいくつか漁りましたが同様に忘れました。
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