今回はなんとなく騒音です。
過去問からの出題
第6回-24
第6回-24
安全性に関して、正しい文章を解答して下さい。(正解2つ)
1.クエンチで最も危険なのが窒息である。
2.SAR はフリップ角に正比例して大きくなる。
3.受信コイルをマルチ化すると騒音が低下する。
4.dB/dt が大きくなると心臓に刺激を与える可能性がある。
5.自己シールド方式ではマグネットに近づけば比例して吸引力が増す。
a.○
b.×2乗
c.×関係ない
d.○
e.×マグネットに近いところで急に強くなる
第12回-26
第12回-26
操作モードの記述で正しい文章を選択して下さい。(正解 3 つ)
1.静磁場、傾斜磁場出力、比吸収率(SAR)、騒音の全てを管理する。
2.静磁場強度が 3T を超え 4T 以下の場合は、常に通常操作モードで運転する。
3.通常操作モードを超える事の決定は、患者に対する潜在的なリスクと効用との 関係から医学的に判断しなければならない。
4.通常操作モードのレベルを超える場合には、患者及び MR 作業従事者に与える 可能性のある影響を説明しなければならない。
5.1 つ又は複数の出力が患者に医療管理を必要とする生理学的ストレスを引き起こす可能性がある値に達する MR 装置の操作モードは、第一次水準管理操作モ ードである。
1.×騒音はない
2.×第一次水準管理モードの範囲
3.○
4.○
5.○
第12回-28
第12回-28
MRI の撮影においては、患者の安全性を考慮して聴力保護が必要であり、等価騒音レベルを( A )dB 未満に下げるのに十分でなければならない。A に入る数値を 選択して下さい。(正解 1 つ)
1. 80
2. 99
3. 100
4. 115
5. 140
1.×
2.○
3.×
4.×
5.×ちなみに、MRI寝台上の患者位置で140dBを超えるピーク音圧レベルの騒音を生じてはならない
第13回-25
第13回-25
MR 画像撮像時に発生する騒音に関する正しい記述はどれか。(正解 3 つ)
1. 患者が接触できるあらゆる領域において 99dB より高いピーク音圧レベルの 騒音を生じてはならないとされている。
2. 静磁場中で傾斜磁場コイルに流れる大パルス電流をオンオフさせることで傾斜磁場コイルが振動し、騒音が発生する。
3. 1 時間の等価騒音レベルが 140dBA を超える場合は、聴力保護具を適切に 使用するべきだと JISZ4951 に記述されている。
4. 騒音の測定方法としては NEMA MS4 が用いられ、MR 装置最大の傾斜磁場 騒音を MGAN、臨床画像撮像条件で発生する最大騒音を MCAN と定義され ている。
5. 聴力低下に対する保護の規格は、職業的に長期にわたって騒音にさらされ る人が永久的に難聴となるリスクに基づいており、24 時間平均として 80dBA が限界値として広く受け入れられている。
1.×140dBA
2.○
3.×99dBA、等価騒音レベル:騒音レベルが時間と共に変動している場合、ある時間内の平均値を算出したもの
4.○
5.○
第15回-44
第15回-44
正しい記述はどれか。2つ選べ。
- 短期 SAR とは任意の2分間の SAR 上限値として規定されている。
- SAR は静磁場強度に比例し,高周波磁場強度の2乗にも比例する。
- 成人に高周波照射4W/kg で体内深部温度 1°C上昇が規格上の考え方である。
- SAR×検査時間で示す最小エネルギー量がリスクマネジメントにより制限される。
- MR 装置は 140dB より高いピーク音圧レベルの騒音を生じてはならないと規定されている。
1.×10秒間
2.静磁場強度の2乗に比例
3.○
4.×最大エネルギー量
5.○
第15回-50
第15回-50
以下の MRI の危険因子に関する説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 吸引は静磁場によって起こり、中心部が最も強く働く。
2. 発熱は誘導電流によって起こり、ボアの端の方で大きく発熱する。
3. クエンチによって液体窒素が気化しても静磁場強度は保たれる。
4. 騒音はフレミングの法則に従って静磁場からのローレンツ力によって発生する。
5. 末梢神経刺激は変動磁場によって起こり、撮像部位から離れた部位で発生する。
1.×
2.×
3.×
4.○
5.○
第16回-41
第16回-41
次の文章で(ア)、(イ)に当てはまる語句の組み合わせで正しいのはどれか。
「(ア)時間の等価騒音レベルが(イ)dBA を超える場合は、聴力保護具を適切に使用するべきである。これは、患者が騒音にさらされる時間が概ね(ア)時間以内でありかつ、毎日ではないことを考慮した結果である」
1.
2.
3.
4.○ピーク音圧レベルは140dB
5.
第16回-48
第16回-48
騒音について正しいのはどれか。3つ選べ。
1. 等価騒音レベル dB(A)で表す
2. 撮像条件によって変わらない
3. 撮像断面によって変わらない
4. 耳栓やイヤーマフなどで 99 dB(A)以下に下げなければならない
5. 傾斜磁場コイルがローレンツ力によって装置を振動させることで発生する
1.○
2.×
3.×
4.○
5.○
まとめ
MRIはとても大きな音が発生するので検査前には耳栓を渡したり、耳当てをしたり患者が難聴にならない工夫をしていますがdB(デシベル)の数値まで考えることはあまり無いと思います。
試験問題ではその数値が問われやすいためチェックしておきましょう。
また出題傾向がわりと一定であり覚える範囲は狭いので試験では確実に取っていきたい問題です。
音のなる理由
MRIには傾斜磁場コイルが内蔵されおり、そこには傾斜磁場を印加するために電流を流します。
磁場中でコイルに電流が流れるとフレミング左手の法則にしたがい親指方向(力の向き)にローレンツ力(ろーれんつりょく)が働きます。
傾斜磁場の変化には電流をスイッチングさせて行いますが、この時傾斜磁場コイルとその支持具に大きな力が生じて騒音を発生させます。
騒音の種類について
出題ではピーク音圧や等価騒音レベルなどがありますが、それぞれ説明しますね。
音とは圧縮された空気の伝搬のため音の強さを示す物理量は圧力(Pa)であり、音圧と呼ばれます。
人の可聴域は20μPa〜200Paで、この範囲外の音は聞こえません。
200Paとはジェット機エンジンの目の前に立っている音とかとても大きい音だと思います。
対する20μPaはたぶんハムスターが呼吸する音とかバッタの着地音くらいだと思います。
ここで、最小音圧と最大音圧の比は1:10000000となります。μ=10-6ですからね
また音の強さは音圧の2乗に比例するようなので、音圧が2倍になれば音の強さは2乗となります。
そうすると最小音の強さと最大音の強さは「1:1兆」とかになるようです。
確かに「ジェット機=ハム1兆匹」という感じはしますが、これでは音同士の比較が難しくなります。
このT2シーケンスはハム200匹分のうるささですねと言われてもわかりませんもんね
説明が暴走していてすみません
ここでdB(デシベル)を用います。
人がなんとか聞こえる最小の音圧を20μPaとし、これを基準にどれくらい大きいかをdB(デシベル)という単位で表します。
対数が使われているため比較しやすく、
20μPa〜200Pa を、0dB〜140dBとより簡潔に表すことができるのです。
まえおきが長くなりましたが、ピーク音圧とは測定時間内で最も大きい音圧のことを言います。
ピーク音圧にもdBを用います。
次に、音のうるささとは音圧だけで簡単に表現できず、高音(高周波数)や低音(低周波数)でも違ってきます。
そこで周波数で重み付けした値を騒音の指標とします。
上記の周波数特性があり、A特性は騒音レベルといい感覚量を、C特性は音圧レベルといい物理量を近似します。
また、Z(FLAT)とは重み付けしない特性で、音圧レベル(物理量)の測定に使用されます。
A特性は騒音レベルを表すと言いましたが、図から高周波数では小さいdBでもうるさく、
低周波数では多少大きいdBでもうるさくなりにくいことが伺えます。
このA特性で重み付けしたのが「A特性重み付け騒音レベル」となり一般に「騒音レベル」と呼ばれます。
そして単位としてdB(A)が使われます。
(Aをつけないで表すこともありますが認定試験では必ずついています。たぶん)
音は時間的に一定とは限らず、時間的な平均値を「等価A特性重み付け騒音レベル(等価騒音レベル)」と呼び、
MRIでは検査時間の平均値として用いられています。
くどいですね遊戯王の火器付きなんちゃら〜みたい。
やっとこさ規定に関して
① 装置:MR装置は140dBより高いピーク音圧レベルの騒音を生じてはならない。
② 患者:1時間の等価騒音レベルが 99dB(A)を超える可能性がある場合は、99dB(A)まで下がるように聴力保護具を使用する必要がある。
③ 従事者:24 時間平均として80dBAが限界値である。
測定に関して
NEMA MS4が用いられています。
IEC651型騒音計もしくは同等品で測定します。
無指向性マイクロフォンをガントリー内部にセットし、MCAN、 MGAN、Lpeak、Leqのいずれかで測定。
MCAN(maximum clinical acoustic noise):最大臨床騒音(臨床画像撮像条件で発生する最大騒音)
MGAN(maximum gradient acoustic noise):最大傾斜騒音(MR 装置最大の傾斜磁場騒音)
Lpeak:ピーク音圧レベル
Leq:等価騒音レベル
この辺は暗記ですね。
騒音に関しては以上です。
出題
第6回-24,第12回-26,第12回-28,第13回-25,第15回-44,第15回-50,第16回-41,第16回-48
参考文献
MRI安全性の考え方 P158
MRI完全解説 P671
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