【第17回】MRI専門技術者認定試験 過去問

2022年出題、問題数50問

目次

第1部

問題 1 脊髄の多発性硬化症が疑われている 20 歳の女性患者の頸椎・頚髄 MRI 横断像の撮像について、若手の技師に聞かれた。最も望ましいアドバイスを選べ。


1. 『T2 強調像を撮像してください』
2. 『T2*強調像を撮像してください』
3. 『FLAIR 像を必ず撮像してください』
4. 『椎間板ごとにそれに平行で撮像面を設定してください』
5. 『椎間板の部分を細かく(狭い間隔で)3枚は撮像してください』

解答
1.○多発性硬化症ではT2で脊髄内に高信号病変が見られることがある。MRI検査では病変部位の位置関係やアーチファクトなどの否定のためにも2断面の撮像があるべきである。頚椎・頸髄のMRI検査としてT2 Sag、T1 Sagを撮像すると考えられその上でAxをどうするかと仮定すると、なるべく簡潔に(余計なことはせず)情報のある撮像をするべきと思われる。そのためT2 Axを撮像するべき。
2.×T2*でMSに有用かは分からないがT2 Axで十分。フローアーチファクトは軽減する。
3.×FLAIRはMSに有用かもしれないが必ずしも必要とは言い難い。また、Axなので。
4.×椎間板に平行である必要はない。
5.×椎間板をthin sliceで撮像する必要はない。
多発性硬化症

問題 2 2 週間前の MRI で急性期の椎骨動脈解離が疑われている患者の経過観察 MRI が計画されている。適切でないものを選べ。

1. MRA は元画像も PACS に送る。
2. MRA は前回の検査を参考に椎骨動脈の異常部を含めて撮像する。
3. 拡散強調像は、前回の検査にて所見はなかったが、今回も撮像する。
4. B-PAS は、前回の検査にて椎骨動脈外径の拡張を確認しているが、今回も撮像する。
5. Black blood 高分解能 T1 強調像は、前回の検査にて壁肥厚を確認しているため、今回は省略する。

解答
1.×元画像は解離を診断する上で有用。
2.×
3.×解離部で狭窄し脳梗塞が生じていないか確認するため。
4.×拡張している場合、外側へ膨らみ動脈瘤となる可能性がある。経過観察。
5.○経過により変化しているか比較するため。偽腔内の血腫が時期により三日月や半月状の高信号となる。
血管は外膜・中膜・内膜と3層構造となっており、内膜を破損した場合は中膜/内膜の間で解離が生じて偽腔に血栓が形成される。すると血管腔が狭くなり脳梗塞を発症する可能性がある。
内膜と中膜を破損して外膜/中膜の間で解離が生じた場合は血管が外側へ膨らむため動脈瘤を形成する可能性がある。
くも膜下出血やWallenberg症候群を合併する恐れがある。
pearl and string sign(管腔の拡張&前後の不整な狭窄像・・・真珠と糸)は15-3912-50でも出題されている。

問題 3 胆道・膵疾患の MRI を撮像する際の正しい対応を選べ。

  1. 膵癌が疑われている症例は脂肪抑制 T1 強調像を撮像する。
  2. 膵胆管合流異常が疑われている症例は胆囊が撮像範囲外になってもよい。
  3. 膵胆管合流異常が疑われている症例は経口消化管造影剤(塩化マンガン四水和物)の投与が必須である。
  4. Intraductal papillary mucinous neoplasm (IPMN) の経過観察中の症例は MRCP のみの撮像でよい。
  5. Intraductal papillary neoplasm of bile duct (IPNB) が疑われている症例は肝臓が撮像範囲外になってもよい。
解答
1.○体の脂肪が信号低下するため相対的に膵臓は高信号として観察される。腫瘍は低信号であり検出に有用。
2.×膵管と胆管が十二指腸壁外で合流する先天性の奇形。膵管内圧は胆管よりも高いため膵液が胆管側へ逆流する。胆管癌や胆嚢癌が発生する可能性があるため撮像範囲に入れる。
3.×わかりませんが必須ではないと思う。
4.×IPMN:膵管内乳頭粘液性腫瘍。膵管内に乳頭状に増殖する腫瘍で粘液を産生することで嚢胞状となる。膵管外へ浸潤することもありMRCPだけでなく各種シーケンスで撮像する必要がある。
5.IPNB:胆管内乳頭状腫瘍。IPMNと類似し胆管内に乳頭状に増殖する腫瘍で粘液を産生するものとしないものがある。肝外胆管だけでなく肝内胆管にも発生するため肝臓も撮像範囲に含むべきと考えられる。

問題 4 正しいものはどれか。2 つ選べ。

1. 棘突起は全ての脊椎に存在する。
2. 赤色骨髄は脂肪組織を含まない。
3. 腰椎脊柱管内には Batson 静脈叢が存在する。
4. 椎体軟骨終板には感覚神経線維が存在しない。
5. 椎体は脊柱の全長にわたって前縦靭帯と後縦靭帯で結ばれる。

解答
1.×環椎には棘突起がない、ちなみに仙骨にもなく代わりに正中仙骨稜となる
2.×造血の盛んな骨髄は赤色を呈し赤色骨髄と呼ばる。加齢につれて造血を行わない脂肪組織に置き換えられ黄色を呈し黄色骨髄と呼ばれる。赤色は約4割、黄色は約8割の脂肪組織を含む。
3.○Batson静脈叢:椎体周囲や脊柱管内に存在し、腰椎だけでなく頚椎胸椎にも分布。弁構造はなく静脈血を貯留。頭頸部、上・下大静脈、門脈、胸部、腹部、骨盤、四肢の静脈系交通を有し血流も双方向性であるため悪性腫瘍の骨転移における重要な経路となる。
4.×感覚神経線維が存在するため終板の変性は腰痛の原因となる
5.○

問題 5 矢印が示す脳神経を選べ。

1. 内耳神経 
2. 三叉神経 
3. 滑車神経 
4. 外転神経 
5. 舌咽神経

解答
1.×上の画像で橋の両端から出ている2本あるうち後ろの神経
2.×画像より上のレベルでもっと太い
3.×中脳から(画像より上のレベル)
4.○
5.×延髄から(画像より下のレベル)
脳神経まとめ

問題 6 核磁気モーメントが最も大きくなるものを選べ。ただし、中性子は陽子よりも小さい磁気モーメントを有し、原子番号および中性子数をそれぞれ Z および N と する。

1. 大きいZ
2. 少ないN
3. ZとNが同数
4. ZとZ+Nが奇数
5. Z および Z+N が偶数

問題 7 造影剤によって短縮した組織の T1 値を求めるための計算式を選べ。ただし、造影剤前の組織の T1 値を T10、組織の造影剤濃度を C、縦緩和率を R1 とする。

1. T10 / (1 + C * R1 * T10)
2. (C *T10) / (1 + R1 * T10)
3. (1 + C * T10) / (R1 + T10)
4. (R1 *T10) / (1 + C * T10)
5. (1 + T10) / (C * R1 * T10)

解答
1.○
2.
3.
4.
5.

問題 8 温度と MRI について正しいものを選べ.

1. 水の T2 値は温度の上昇に伴い延長する傾向にある。
2. 生体内のすべての組織は体温の上昇に伴い T1 値が延長する。
3. Chemical exchange saturation transfer(CEST)MRI に温度の影響はない。
4. Ice-water ファントム(0 °C)を用いると室温(25 °C)の水より ADC が高くなる。
5. MR spectroscopy による proton density fat fraction 測定では温度の影響はない。

解答
1.○温度上昇に伴い相関時間τは短くなる(氷より液体の方が相関時間が短い)ためT2値は延長すると推測。参考
2.×水においては体温上昇に伴いT1値は延長する(体温低下に伴いT1値が低下する)が「すべての組織」というのが誤りか
3.×CEST化学交換飽和移動。pHと温度依存性がある。温度が上昇するほどCEST効果が大きくなり信号は低下する。CEST
4.×温度が高いほど拡散係数は高くADC値は高くなり、温度が低いほど拡散係数は低くなりADC値は低くなると思われる。DWI
5.×proton density fat fraction:プロトン密度脂肪率測定。肝臓の脂肪沈着を定量的に観察する。

問題 9 造影検査について正しいものはどれか。2 つ選べ。

  1. 造影後の脂肪抑制法として STIR 法を用いた。
  2. 造影後の FLAIR 画像は造影効果が得られない。
  3. 造影後のフローアーチファクト対策として magnetization transfer パルスを印可した。
  4. 造影後の opposed-phase 画像にて造影効果が低減することを paradoxical-suppression と呼ぶ。
  5. 脳転移検索目的でガドテリドールを 0.2 ml/kg 静注したのち、造影効果が不十分であったため、追加で同製剤を 0.2 ml/kg 静注した。
解答
1.×STIRは特定のT1値(脂肪のT1値)をもつ組織を抑制する方法なので造影後に脂肪と同等のT1値となってしまうと脂肪でない組織も抑制されてしまうため。
2.×健常者頭部に関して言えば造影前FLAIRと造影後FLAIRの画像にほぼ違いはない。しかし髄膜炎などがある場合は増強効果があるため造影効果はある。比較的薄い濃度で高信号となる。
3.×頭部におけるMTパルスはMRAではバックグラウンド抑制として、メタ検索でも脳実質の信号を低下させ(基底核部分は若干コントラストがつき高信号に見える)造影効果をわかりやすくするために使用される。MT効果
4.○造影した場合、増強効果により信号は高くなるはずだが脂肪が混在する組織ではopposed-phaseで信号が低下することがある。
5.○販売名:プロハンス、一般名:ガトテリドール。ガトテリドールは腫瘍の検出がないもしくは造影効果が不十分の場合投与から30分以内に倍量分割投与(追加投与)が認められている。

問題 10 脂肪抑制法について正しいものを選べ。SPAIR:spectral attenuated inversion recovery

1. CHESS 法は高磁場装置に不向きである。
2. CHESS 法で主に抑制されるのは水の中心周波数から 2 ppm 低いメチレン基である。
3. STIR 法は CHESS 法よりも SNR が高くなる。
4. STIR 法の null point は TE の設定によって変動する。
5. SPAIR 法に利用される adiabatic pulse は高磁場や体幹部に有用である。

解答
1.×水の共鳴周波数から3.5ppm低い周波数へ飽和パルスを打って信号抑制するため、静磁場が低いと水と脂肪の3.5ppmの差が狭く飽和パルスが脂肪だけでなく水も飽和させる可能性があり低磁場装置に不向き。3.5ppm差を周波数で表すと3Tで447Hz、1.5Tで224Hz、0.15Tでは22Hz。
2.×主に抑制されるのはメチン(3.15ppm)、メチレン(3.35ppm)、メチル(3.75ppm)
3.×IRパルス後縦磁化が減少するためSTIRのSNRは低い。
4.×null pointは変動しない
5.○周波数と振幅を変調させることで正確に180°パルスを照射できB1不均一に強い。高磁場や体幹部などB1不均一が起こりやすい条件下で有用。

問題 11 Phase contrast(PC)法について正しいものを選べ。

  1. MR venography として利用しない。
  2. MRA を撮像する場合には Gd 造影剤を投与しても描出能は変わらない。
  3. 速度エンコードを過大に設定すると速度の折り返しアーチファクトが発生する。
  4. Bipolar gradient の正負を入れ替え、2 回撮像する事で磁場の不均一に伴うバイアスを除去する方法がある。
  5. 3 方向の速度を測定する場合(x,y,z)、計 6 回の撮像が必要となるが Hadamard encoding scheme を使用すると撮像回数を 3 回に減らすことが出来る。
解答
1.×MRVとして利用する。
2.×描出能は変わる。
3.×流速が速度エンコード(VENC)を上回る場合に速度折り返しが生じる。
4.○歯科用ブリッジなどの強磁性体により広範に信号欠損してしまう例でもPC法では血管を描出できる場合がある。
5.×3回ではなく4回

問題 12 正しいものを選べ。

1. b 値は MPG を印加する間隔に依存しない。
2. 拡散係数の単位は秒毎平方メートルである。
3. 低い b 値では灌流の影響で拡散係数は低くなる。
4. b 値の増加に伴う信号低下は、拡散係数の小さい組織のほうがより顕著である。
5. b 値が同じ場合、十分な大きさの容器内では拡散時間を変化させても ADC 値は変化しない。

解答
1.×b値=γ2G2δ2(Δ-δ/3) γ:磁気回転比、G:MPGの強さ、δ:MPGの印加時間、Δ:始めのMPGと次のMPGまでの時間
2.×平方ミリメートル毎秒(mm2/s)
3.×低いb値ほど灌流の影響は強くなり拡散係数は大きくなる
4.×拡散係数が小さい(DWIで高信号)ほど信号低下しにくい、拡散係数が大きいほど信号は大きく低下する→よりコントラストが大きくなる
5.○
拡散強調画像

問題 13 正しいものを選べ。FA:fractional anisotropy、IVIM:intravoxel incoherent motion

1. FA 画像は 3 軸以上の MPG が必要である。
2. FA 値による拡散異方性は、0.5 より 1.5 のほうが強い。
3. IVIM は灌流の影響を除外した拡散のことである。
4. Radial diffusivity は拡散異方性が最も強い方向の拡散係数である。
5. b 値を大きくすると拡散係数の大きい組織は ADC 値を過小評価してしまう。

解答
1.×6軸
2.×FA値は0〜1。異方性拡散が強いと最大値1に近づく。
3.×IVIM:Intra Voxel Incoherent Motion。拡散強調画像には灌流と拡散の両方が関与しているが、拡散だけの情報が欲しいためにb値を高くして灌流の影響を排除している。IVIMは灌流と拡散を同時に観察するもの。
4.×組織内の拡散において楕円形モデルなるものがあり長軸方向のAD:Axial diffusivityが強い
5.○b値を大きくなるに従いSNRが低下して、ノイズ信号のバイアスに影響を与えADC値も低下する。

問題 14 ASL について正しいものを選べ。ASL:arterial spin labeling、CASL:continuous ASL、pCASL:pulsed continuous ASL、PASL:pulsed ASL

1. 血流信号を高くするためにはラベルの前後に RF パルスを印加する。
2. 理論的には 1.5 T 装置と 3.0 T 装置で計測した CBF 値は同じである。
3. pCASL は上流の任意の断面に対しに一度の RF 波を印加してラベルを行う。
4. CASL は上流の任意の断面に対し間欠的 RF パルスを印加してラベルを行う。 
5. PASL は上流の任意の断面に対し連続波 RF パルスを印加してラベルを行う。

解答
1.○ PULSAR:ラベリング前に複数FAのRFパルス、ラベリング後にサチュレーションパルスを照射、脳実質からの信号を飽和させることで灌流信号を上昇させる。
2.×T1値による違いの影響?この問にはっきりした否定はできません。
3.×間欠的に印加
4.×上流に断熱RFパルスを連続的に与えスピンの縦磁化を反転させる。SNRが高いがSARも高い。
5.×上流に領域選択的RFパルスを用いてスピンを一度に反転させる。SARが低い。

問題 15 Functional MRI(fMRI)撮像について正しいものを選べ。

1. 画像コントラストは T2*強調である。
2. サンプリングレートは TE で調節する。
3. 酸素と結合したヘモグロビンは常磁性を示す。
4. 血液が高度に酸素化されている部位では信号強度が低下する。
5. BOLD 効果に伴う信号上昇は神経活動の直後(1 秒以内)から生じる。

解答
1.○
2.×TR
3.×酸素と結合しているオキシヘモグロビンは反磁性、酸素と結合していないデオキシヘモグロビンは常磁性
4.×デオキシヘモグロビンが少なくなるほど信号は上昇する
5.×血流動態反応関数としてモデル化されている。神経活動によりデオキシヘモグロビンが増加し信号は一時的に減少、後に信号は上昇していき活動後5〜6秒でピークとなり徐々に下がり20秒ほどで元にもどる。

問題 16 正しいものはどれか。2 つ選べ。

1. k 空間の座標軸は周波数である。
2. 実信号は奇関数、虚信号は偶関数である。
3. 受信バンド幅はサンプリング間隔に比例する。
4. 実空間と k 空間は互いにフーリエ変換の関係にある。
5. 磁場勾配による位相変化は磁場勾配の強さに依存する。

解答
1.×波数=(空間周波数):単位距離あたりの波の数[cycle/cm][rad/cm][cm-1
2.×実信号:偶関数、虚信号:奇関数
3.×反比例、BW=1/ΔTs、ちなみにサンプリング時間Ts=N×ΔTs
4.○
5.○

問題 17 正しいものはどれか。2つ選べ。

  1. H-MR spectroscopy では悪性腫瘍のコリンピークが低下する。
  2. SWI において静脈は位相変化が少ないため高信号に描出される。
  3. Driven equilibrium(DE)パルスは T2 強調や脂肪抑制に使われる。
  4. 位相コントラスト画像は Qp/Qs(肺循環体循環血流比)を測定できる。
  5. BOLD 法では相対的にオキシヘモグロビンが低下するため信号が上昇する。
解答
1.×コリンピークは上昇。MRSピーク
2.×デオキシヘモグロビンにより信号低下
3.○FRFSE、DRIVE(T2強調)。SSRF(脂肪抑制)。
4.○PC法により可能
5.×デオキシヘモグロビンが低下し信号上昇

問題 18 Balanced SSFP シーケンスについて正しいものを選べ。SSFP:steady state free precession

1. フリップ角が低いほど、血液は高信号となる。
2. TR が長いほど、バンディングアーチファクトは低減する。
3. マルチショットではショット間隔が短いほど、血液は高信号となる。
4. Linear order に対し、centric order では CHESS パルスによる脂肪抑制効果が低い。
5. Linear order に対し、centric order では渦電流による縞模様のアーチファクトが出現しやすい。

解答
1.×FAが高いほど血液信号は高くなる
2.×バンディングの間隔(stopbandの周期)は1/TRなためTRが短いほど低減する
3.×ショット間隔が長いほど血液信号は高くなる
4.×通常はcentric orderを用いるが移行期での収集となりコントラスト低下やアーチファクトが見られる。Linear orderで収集するとコントラスト低下やアーチファクトは改善するが脂肪抑制効果は低くなる。
5.○傾斜磁場スイッチングがLinear orderに比べ激しく渦電流による縞模様のアーチファクトが出現しやすい

問題 19 正しいものを選べ。

1. 磁化率アーチファクトを低減するため、受信バンド幅を狭くした。
2. マジックアングルアーチファクトを低減するため、TE を短縮した。
3. クロストークアーチファクトを低減するため、オーバーサンプリングを使用した。
4. ケミカルシフトアーチファクトは脂肪が周波数の低い方へシフトする現象である。
5. トランケーションアーチファクトを低減するため、位相エンコードマトリクス数を減らした。

解答
1.×BWを広くする。位相分散の影響を少なくするためTE短縮、スライス厚やボクセルサイズの縮小でも低減できる。
2.×TE短縮では低減されない。TEの短いシーケンスで現れるためTEの長いシーケンスに変更する。マジックアングルの発生する組織と55°にならないようにポジショニングする。マジックアングル
3.×オーバーサンプリングは折り返しの防止法。クロストークはギャップを広くしたりインターリーブを用いる。
4.○
5.×マトリクス数を増やす。BWを狭くするなど。トランケーション

問題 20 シングルショット高速スピンエコー法で得られた肺尖部の T2 強調画像を示す。白矢印で示すアーチファクトを 改善するための正しい方法を選べ。

1. マトリクス数を増やす。
2. 受信バンド幅を広げる。
3. 生データフィルタを使用する。
4. 位相エンコード方向を変更する。
5. 検査室の扉が閉まっていることを確認する。

解答
1.×トランケーションの対策
2.×ケミカルシフトや磁化率アーチファクトの対策
3.×トランケーションの対策
4.○折り返しアーチファクトの対策、画像では左右方向が位相エンコードとなり折り返しが発生。
5.×ジッパーアーチファクトの対策

問題 21 比吸収率(specific absorption rate:SAR)が最も高いシーケンスを選べ。ただし、TR は同じ時間とする。

1. Spin echo (ETL:1)
2. Fast spin echo (ETL:32)
3. Stimulated echo (ETL:1)
4. Inversion recovery spin echo (ETL:1)
5. Spin echo typed echo planer imaging (ETL:128)

解答
1.×TR中に90°パルス1、180°パルス1
2.○TR中に90°パルス1、180°パルス32
3.×TR中に90°パルス3(FAを90°パルスと仮定)
4.×TR中に90°パルス1、180°パルス2
5.×TR中に90°パルス1、180°パルス1
SARはデューティサイクルDに比例し、Dは1TRあたりに含まれるRFパルスが与えるエネルギーの総和となる(D=ΣERF/TR)。そのためTR中のRFが多いほど、FAが大きいほどDが大きくなりSARは大きくなる。以上からTR中に180°パルスを多用するFSEで最もSARが高くなる。パルスシーケンスとSAR

問題 22 バイポーラグラディエントを利用する方法はどれか。3 つ選べ。
MPG:motion proving gradient、MEG:motion encoding gradient、DANTE:delay alternating with nutation for tailored excitation

1. MPG
2. MEG
3. VENC
4. CHESS
5. DANTE

解答
1.○ DWIで使用
2.○ MRE(エラストグラフィ)で使用
3.○ PC法で使用
4.× 化学シフト差を利用した脂肪抑制法
5.×SARを上げないように目的のフリップアングルにするため、小さいFAで多数に分けて照射する櫛型のパルス

問題 23 MRI 画像(強度画像)の SNR の測定について正しいものはどれか。2 つ選べ。

1. バックグラウンド領域でのノイズはレイリー分布を示す。
2. ピクセルシフトによる差分法では 1 枚の画像からノイズを評価できる。
3. 差分法を用いる場合は差分処理で負の値を 0 にするような閾値設定をする。
4. 差分法でノイズを測定する場合は差分画像の ROI の標準偏差に √2 の値を乗する。
5. バックグラウンド領域からノイズを求めるときは、ノイズを補正係数 1.253 の値で除する必要がある。

解答
1.○
2.○
3.×0にせず負の値を保つ設定とする
4.×Noise=SDsub/√2
5.×Noise=SDBG/0.655 ROIの平均値から求める場合はNoise=MeanBG/1.253

SNR測定

問題 24 NEMA における均一性の評価について正しいものを選べ。

  1. スライス厚は 10 mm より厚く設定する。
  2. 不均一度は 100×(Smax-Smin)/(Smax+Smin)で計算される。
  3. T1 値が 500 ms のファントムを用いた場合、TR は 1500 ms で問題ない。
  4. ノイズの影響を少なくするために 9 点ハイパスフィルタ関数を畳み込んでもよい。
  5. Normalized absolute average deviation(NAAD)は ROI 内の各ピクセル値の標準偏差から均一性を評価する方法である。
解答
1.×10mm以下
2.○
3.×TR:T1値×5以上
4.×高周波ノイズの除去を行うため9点ローパスフィルタを使用
5.×絶対偏差から均一性を評価する方法。ノイズの影響を受けにくい。均一性試験

問題 25 画像のようなファントムを用いた NEMA の歪み測定を行う際の正しいものはどれか。2 つ選べ。

1. スライス厚は 5 mm 以下とする。
2. ファントム温度は 20±4°Cとする。
3. 長方形ピクセルで測定可能である。
4. 距離の測定間隔を 30°で 6 本として測定してもよい。
5. 測定値と実寸の誤差割合を算出し、最大誤差を表記する。

解答
1.×10mm以下
2.×22±4℃
3.×正方形ピクセル
4.○測定間隔は45°以下で4本以上
5.○
歪み測定

第2部

問題 26 肝臓 MRI 検査における肝脂肪について正しいものを選べ。

  1. MR elastography は脂肪定量が可能である。
  2. SE-T1 強調画像で脂肪肝は、健常な肝臓よりも低信号になる。
  3. MRI で計測する脂肪含有率は、proton density fat fraction と呼ぶ。
  4. マルチエコーDixon 法での脂肪含有率測定は、メチレン基のみの脂肪を測定している。
  5. 微量の脂肪沈着を確認するための T1 強調 dual echo 法は、1st TE を in-phase、2nd TE を opposed-phase で撮像する必要がある。
解答
1.×MR elastographyは肝の高度を調べ脂肪肝がわかる。脂肪定量にはIDEAL-IQを用いる。
2.×高信号になる。
3.○プロトン密度脂肪率測定
4.×その他にメチル基やメチン基なども
5.×水と脂肪の混在だけでなくTEが長くなる事によっても信号低下する(区別できなくなってしまう)ため、1st TE をopposed-phase、2nd TE をin-phaseとする

問題 27 心臓のシネ撮像について正しいものはどれか。2 つ選べ。

1. ストレイン解析が可能である。
2. 右心室の機能解析は駆出率を算出できない。
3. フェーズ数が少ないと駆出率を過大評価する。
4. 心電図波形が計測できないので,脈波同期で検査を行った。
5. 心臓の機能解析は,feature tracking 法で駆出率を算出する。

解答
1.○心筋ストレインとは心筋組織の変形を意味しており一般的に拡張末期の心筋の長さを基準としてそこから何%伸びたり縮んだりしたかで表すもの。feature trackingなどを用いる。参考
2.×可能
3.×
4.○
5.×feature trackingはストレイン解析

問題 28 拡散強調画像について正しいものを選べ。

1. SNR が足りないので b 値を大きくした。
2. 歪みが強いのでエコー時間を短縮した。
3. 胸部や腹部の撮像には呼吸同期が必須である。
4. b 値の組み合わせを変えても ADC は一定である。
5. ADC が高くても正常組織より高信号になることがある。

解答
1.×b値が大きいほどSNRは低下する

2.×TEは歪みに影響しない
3.×呼吸同期なしでも十分な画像が得られる(例としてDWIBSなど)
4.×ADCは以下で計算されるが、正確に算出するにはADCの逆数分のb値が必要となる。b1は0として、b2は目的臓器のADCが0.7mm2/s程度の場合、b2=1400s/mm2程度となる。さらに高b値ではSNR低下によりADCが低下してくるためどんなb値でもADCは一定になるとは言えない。

5.○T2 shine through?

問題 29 正しいものはどれか。2 つ選べ。
MP2RAGE:magnetization-prepared 2 rapid gradient echo、MOLLI:modified Look-Locker inversion recovery、ECV:extracellular volume fraction

1.MP2RAGE法はT2 mapを得ることができる。
2. MOLLI 法は saturation pulse を利用している。
3.ECVを求めるには造影前後のT2 mapが必要である。
4. Look-Locker 法での T1 値測定には T1*効果が問題である。
5.Dualflipangle法によるT1 mapはB1の影響を受けやすい。

解答
1.×T1 map
2.×T1 mapを得る方法。IRパルスを用いて1回の息留めで心拍同期させたデータを収集。
3.×T1 map
4.○MOLLI法ではSSFPが用いられるが熱平衡状態より低い定常状態となり早い回復を見せる(T1*)。T1値の過少評価の原因と考えられている。
5.○

問題 30 脳の T2 強調横断像を示す。レンズ核を構成する部位を選べ。

1. a
2. b
3. c
4. d
5. e

解答
1.a内包
2.b脳梁
3.c尾状核
4.○レンズ核(外側が被殻、内側が淡蒼球)
5.e視床

問題 31 EOB-MRI の肝細胞相像を示す。Couinaud 分類による★印の肝区域を選べ。

1. S4
2. S5
3. S6
4. S7
5. S8

解答
1.
2.
3.
4.○S6,S7の領域だが右肝静脈が見えているためS7
5.

問題 32 健常者の心臓 SSFP 像を示す。正しい組み合わせを選べ。SSFP:steady state free precession

1. a – 三尖弁 
2. b – 肺動脈弁 
3. c – 二尖弁 
4. d – 僧帽弁 
5. e – 大動脈弁

解答
1.左室なので大動脈弁or僧帽弁、おそらく僧帽弁
2.左室なので大動脈弁or僧帽弁、おそらく大動脈弁
3.右室なので三尖弁or肺動脈弁、おそらく三尖弁
4.○左室なので大動脈弁or僧帽弁、おそらく僧帽弁(二尖弁)
5.右室なので三尖弁or肺動脈弁、おそらく肺動脈弁
右房→(三尖弁)右室、右室→(肺動脈弁)肺動脈、左房→(僧帽弁・二尖弁)左室、左室→(大動脈弁)大動脈
心筋の厚さを見て右室か左室を判断し弁の推測をする

問題 33 頭部 FLAIR 像を示す。正しいものはどれか。2 つ選べ。

1. TI が不適切である。
2. TR が不適切である。
3. 造影剤による信号増強を認める。
4. 脳脊髄液の信号抑制不良はクモ膜下出血との鑑別を要する場合がある。
5. アクイジション(パッケージ、分割)数を増やすと脳脊髄液の信号抑制不良を改善できる。

解答
1.×不適切ではCSFの信号が出てくる
2.×不適切ではCSFの信号が出てくる
3.×FLAIRは造影しても正常組織には造影効果はほぼみられず髄膜炎などがある場合に造影効果がみられる
4.○画像では橋前槽と中脳水道が高信号
5.○IRパルスの幅を広げられるため

問題 34 大後頭孔レベルの頭部 T2 強調横断像を示す。病変の有無がより明瞭になる撮像方法を選べ。

1. T1 強調横断像
2. T1 強調矢状断像
3. T2*強調横断像
4. プロトン密度強調横断像 
5. プロトン密度強調矢状断像

解答
1.
2.○キアリ奇形
3.
4.
5.

問題 35 頭部 arterial spin labeling 像を示す。正しいものを選べ。

 1. TE が不適切である。
2. 静脈血からの信号を認める。
3. モーションアーチファクトを認める。
4. 動脈血流の乱流の影響を受けている。
5. Post-labeling delay を変更して追加撮像すると診断に有用である。

解答
1.×
2.×上矢状静脈洞にも見えるがスライスが下すぎる。動脈血かと推測。
3.×
4.×
5.○この画像では右側の血流がないように感じる。これは血流が遅いだけで実際は灌流が保たれている場合がありPLDを延長させて追加撮像することで診断に有用となる可能性がある。正中の高信号は血流が遅いために動脈にまだラベリングされた血液が残留している状態かと推測。

問題 36 脳実質内血腫(期間、ヘム鉄の変化、局在、T1 強調像)に関する正しい組み合わせを選べ。

1. 0~24時間 オキシヘモグロビン 赤血球内 軽度高信号
2. 1~3日 デオキシヘモグロビン 赤血球内 高信号から等信号
3. 3~7日 メトヘモグロビン 赤血球内 低信号
4. 3~7日 メトヘモグロビン 赤血球外 低信号
5. 1週間~ ヘモジデリン 赤血球外 低信号

解答
1.出血〜数時間 オキシヘモグロビン 赤血球内 T1:やや低信号 T2:やや高信号
2.数時間〜数日 デオキシヘモグロビン 赤血球内 T1:低信号 T2:低信号
3.数日〜7日 メトヘモグロビン 赤血球内 T1:高信号 T2:低信号
4.7日〜 メトヘモグロビン 赤血球外 T1:高信号 T2:高信号
5.1カ月〜 ヘモジデリン 赤血球外 T1:低信号 T2:低信号
強いて言えば3の赤血球内メトヘモグロビンは周辺部から置き換わっていくため低信号も混ざる。でも不適切問題のように思います。

問題 37 前立腺がんの MRI 検査について正しいものを選べ。

1. T2 強調像は鉄沈着の診断に有用である。
2. T1 強調像は移行域での過形成結節との鑑別に有用である。
3. 造影ダイナミックの 1 相目は 90 秒以下が推奨されている。
4. High b value 拡散強調像の b 値は 500 s/mm2 以下が有用である。
5. 高分解能 T2 強調像は小さな前立腺がんや被膜外浸潤の診断に有用である。

解答
1.×がんの診断
2.×移行域の過形成結節は肥大症で認められることがあり高信号と低信号が混在する。
3.×前立腺癌は早期濃染するため90秒では遅い。”以下”という言い方はいやらしいですね。
4.×PI-RADS v2以降ではhigh b-value DWIはb≧1400s/mm2としている。
5.○

問題 38 正しいものを選べ。
DWIBS:diffusion weighted whole body imaging with background body signal suppression、QSM:quantitative susceptibilitymapping、SWI:susceptibilityweightedimaging、CEST:chemicalexchangesaturationtransfer

1. DWIBS は全身の拡散強調背景抑制法である。
2. QSM は脂肪有率を定量的に算出した画像である。
3. SWI は磁化率強調像を定量的に得る撮像法である。
4. Computed DWI は 2 つ以上の b 値を利用して任意の ADC 値を求める手法である。
5. CEST イメージングは脂肪と水のプロトン間での交換が起こる現象を示した画像である。

解答
1.○
2.×定量的磁化率マッピング。磁化率を定量的に算出した画像であり、脳の鉄沈着を調べ認知症などに用いる。
3.×磁化率強調像を得る方法、定量的ではない。頭部において静脈の画像を得たり、外傷や腫瘍などに用いる。
4.× 2 つ以上の b 値を利用して任意のb値の信号強度を求める
5.×水のプロトンと特定のプロトン間での交換。生体内ではアミドやヒドロキシ基(内因性CEST)。他にはヨード系造影剤など(外因性CEST)。CEST

問題 39 脳の dynamic susceptibility contrast(DSC)について正しいものを選べ。
ADC:見かけの拡散係数、rCBF:局所脳血流量、rCBV:局所脳血液量、MTT:平均通過時間、TTP:到達時間 

1. MTT 延長領域は灌流異常の最小範囲を表す。
2. TTP 延長領域は灌流異常の最小範囲を表す。
3. rCBV の低下と rCBF の著明な上昇領域は最終梗塞に至る。
4. DSC の評価方法には、ADC、rCBF、rCBV、MTT、TTP がある。
5. rCBV の維持または上昇と rCBF の低下が軽度の領域に、ペナンブラの存在が示唆される。

解答
1.×MTT 延長領域は灌流異常の最大範囲→MTTのみではペナンブラの評価はできない
2.×TTP 延長領域は灌流異常の最大範囲→TTPのみではペナンブラの評価はできない
3.×rCBVの低下とrCBFの著明な低下領域は最終梗塞に至る
4.×ADCはDWIによる
5.○
灌流パラメーター

問題 40 薬機法で分類されている磁気共鳴画像診断装置のクラスを選べ。

1. クラス1
2. クラス2
3. クラス3
4. クラス4
5. クラス5

解答
1.×
2.○
3.×
4.×
5.×

問題 41 JIS Z 4951:2017 について正しいものはどれか。2 つ選べ。

  1. 全身 SAR の通常操作モードは 4 W/kg 以下である。
  2. MR コンソールに表示されている B1+rms は 5 秒間の平均予測値である。
  3. 第一次水準管理操作モードでの全身 SAR 上限値は、周囲温度に依存しない。
  4. 頭部 SAR の上限値は、通常操作モード、第一次水準管理操作モードともに 3.2 W/kg である。
  5. 固定パラメータオプション:ベーシック(FPO:B)の円筒型 MR 装置に適用可能な B1+rms の上限値は 3.2 μT である。
解答
1.×2W/kg以下
2.×10秒間平均の最大値
3.×周囲温度が25℃より1℃上昇するごとにSARは0.25W/kg下げる
4.○
5.○
モード

問題 42 JIS Z 4952:2012 「磁気共鳴画像診断装置-第 1 部:基本画質パラメータの決定方法」に記載されている測定項目はどれか。2 つ選べ。

1. 空間分解能
2. 折り返しアーチファクト
3. モーションアーチファクト
4. Signal-to-noise ratio(SNR) 
5. Contrast-to-noise ratio(CNR)

解答
1.○
2.×
3.×
4.○
5.×
信号ノイズ比、均一性、2次元のスライス厚及びスライスプロファイル、2次元幾何学的ひずみ(歪)、空間分解能、ゴーストアーチファクト、(上記項目についての不変性試験)

問題 43 MR 対応の周辺機器について正しいものを選べ。

1. カプノメータは手指に装着する。
2. 輸液ポンプは専用ラインを使用する。
3. 撮像中の心電図でも ST 波上昇を確認できる。
4. ストレッチャのフレームはニッケル製である。
5. パルスオキシメータは血圧計と同側に装着する。

解答
1.×気管チューブと人工呼吸器回路の間に設置。呼気に含まれるCO2分圧を測定するモニタ。指につけるのはパルスオキシメータ。
2.○
3.×高磁場にさらされると磁気誘導電位により心電図波形が変化する。STは上昇よりも下降の形状となる。磁場が高くなるほど著しい。
4.×ニッケルは強磁性体。MRI対応にはアルミニウムなどが使用される。
5.×血圧計の締め付けにより血流が低下し正確な値が測れない

問題 44 ステンレス鋼について正しいものはどれか。2 つ選べ。 

1. 加工方法によって磁性が変化する。
2. チタン合金よりも生体内の耐食性が高い。
3. Ni が 8%以上含まれる場合、強磁性体である。
4. 結晶構造が体心立方格子であれば強磁性体である。
5. 非磁性のステンレス鋼は RF 波によって発熱しない。

解答
1.○加工を行う際の応力が原因で内部結晶構造に変化が生じ、材料の一部分が磁性をもつ結晶構造になってしまう場合がある
2.×おそらくチタン合金が生体内の耐食性が高い
3.×
4.○体心立方格子:マルテンサイト、フェライト。面心立方格子は非磁性:オーステナイト
5.×発熱の可能性あり

問題 45 MRI で用いられる主な磁場について正しいものを選べ。

1. 静磁場、傾斜磁場(変動磁場)と高周波電磁場がある。
2. 静磁場による変位力(吸引力)は、磁場中心で最大となる。
3. 高周波電磁場による人体発熱は、ガントリ開口部で最大となる。
4. 変動磁場による人体への末梢神経刺激は、撮像領域の中心で最大となる。
5. 傾斜磁場コイルから発生する騒音は、撮像スライス厚が厚くなるほど大きくなる。

解答
1.○
2.×ガントリ開口部で最大
3.×RF送信コイル端でSAR上昇。腰椎撮影(腰椎中心)の場合、指と太腿の触れるあたりで高くなり事故の報告がある。
4.×撮像中心より離れたところで最大となる
5.×スライス厚が薄いほど傾斜磁場が強くなるためコイルに加わる力が強くなり騒音は大きくなる

問題 46 電磁場の生体影響について正しいものはどれか。2 つ選べ。

1. 高周波磁場による熱吸収は、被写体の中心部で最大となる。
2. 高周波磁場による被写体への影響は、周波数によらず一定である。
3. 人体において、静磁場内で動く導体(血液など)に起電力が発生する。
4. 変動磁場による人体への影響として、心刺激と末梢神経刺激の閾値は同じである。
5. 静磁場による人体への影響として、めまい、頭痛や味覚変化などを生じることがある。

解答
1.×体表付近で最大
2.×1.5T(64MHz)では誘導加熱、100MHz以上である3T(128MHz)では誘電加熱の影響も現れる
3.○
4.×磁気閃光は0.17A/m2、心室細動は2〜10A/m2とされている
5.○

問題 47 クエンチについて正しいものはどれか。2 つ選べ。

  1. 原因不明で発生する(自然クエンチ)ことがある。
  2. 安全対策としてヘリウムガス濃度モニタを設置する。
  3. ヘリウムガスは床に充満するため頭を高くして移動する。
  4. ヘリウムガスは約 700 倍(0 °C、1 気圧)に膨張するため検査室の扉は内向き(検査室内から引く方向)に設計する。
  5. 排気口から放出されるヘリウムガスが人体に触れると低体温症や凍傷を引き起こす恐れがあるため立ち入り制限区域を設ける。
解答
1.○日本放射線学会誌2011年では全クエンチ中12%も自然クエンチがあると報告されている
2.×酸素濃度モニタ
3.×ヘリウムは空気より軽いので天井から充満する
4.×外開き
5.○
クエンチ

問題 48 本邦の臨床で用いられているガドリニウム造影剤について正しいものはどれか。2 つ選べ。

1. 経口投与と経静脈投与がある。
2. 細胞外液分布の造影剤は尿として排泄される。
3. 慢性腎臓病の高度~末期腎障害の患者さんにも安全に使用可能である。
4. 急性期(投与後 24 時間以内)の副反応として腎性全身性繊維症の報告がある。
5. ガドリニウムイオンは有毒な金属であるため、キレート剤と結合した製剤として用いている。

解答
1.×ガドリニウム造影剤に経口投与はない
2.○
3.×eGFRが30ml/min/1.73m2未満ではガドリニウム造影剤使用後のNSF(腎性全身性繊維症)発症の危険性が高いと言われている
4.×NSFは数日〜数年後に発生する
5.○

問題 49 日本磁気共鳴医学会から発令された「臨床 MRI 安全運用のための指針(2020 年 3 月 19 日 一部改訂版)」について正しいものはどれか。2 つ選べ。

  1. MRI 造影剤の使用においては同意書を取得すること。
  2. 定期的(少なくとも 1 年に 1 回)に保守点検が行われていることが望ましい。
  3. 安全管理チームの会合は 6 か月 1 回以上行い、施設内での医療従事者への講習を定期的に行うこと。
  4. 安全管理チームの構成員には磁気共鳴専門技術者あるいはそれに準ずる者が含まれることが望ましい。
  5. 安全管理責任者や安全管理担当者は MRI 造影剤に関する講習会に定期的(少なくとも 5 年に 1 回)に参加すること。
解答
1.○
2.×少なくとも6カ月に1回
3.×1年に1回以上
4.○
5.×少なくとも2年に1回
臨床MRI安全運用のための指針

問題 50 日本磁気共鳴医学会から発令された「全身 MRI 撮像の指針(2020 年 3 月 23 日 初版)」について正しいものはどれか。2 つ選べ。

1. 1.5 T 装置による撮像を必須とする。
2. 全身拡散強調像は原則 冠状断を撮像する。
3. 撮像範囲は頭頂部から骨盤骨下端までを必須とする。
4. 微小病変や活動性が低い病変が偽陰性となる可能性がある。
5. 臨床に用いる場合は本検査の注意事項を患者へ説明して書面にて同意をとること。

解答
1.×1.5Tもしくは3T
2.×原則 水平断
3.×頸椎上端から骨盤骨下端
4.○
5.○
全身MRI撮像の指針
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コメント

コメント一覧 (4件)

  • はじめまして。
    第17回試験の合格者です。
    過去問の解答が正式に発表されてない中、こちらのサイトを参考にさせていただきました。
    また、過去問解答以外も単元毎に非常にわかりやすくまとめられており、勉強する上で非常に助けられました。
    こちらのサイトのおかげで合格できたと思います。
    私以外にも多くの受験生が助けられていると思います。
    大変だと思いますが、これからも頑張ってください。

    • コメントいただきありがとうございます。
      明確な目標がないまま始めたブログのため、役に立っているのか自己満足しているだけなのか不安になることがございます。
      ですがそのように言っていただけると大変光栄でとても嬉しく、今後の励みになりました。
      まだ半人前で教えられるような立場ではありませんが利用していただけると幸いです。
      今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。
      また、合格されたのはsakura-flower様の努力と実力の結果と思います。本当におめでとうございます。

  • はじめまして。
    いつもお世話になっております、と言いたいくらい過去問を解く際には必ず拝見させて頂いております。

    問34について教えて頂きたいです。
    素人質問で本当に恐縮なのですが、キアリー奇形となるとSAGに選択肢が絞られると思うのですが、選択肢5のプロトン密度強調ではなくT1なのはどういった理由からなんでしょうか?
    T1の方がプロトン密度強調よりCSFが黒く描出されて、全体的なコントラストがついて見やすいからでしょうか?

    • ご質問ありがとうございます。
      みなみ様のおっしゃる通りで、T1WIではCSFが低信号となりプロトン密度よりも脳とのコントラストが高く見やすいためです。またキアリ奇形では脊髄空洞症なども合併していることがあり、CSFと脊髄とのコントラストが悪ければ見逃してしまう可能性もあります。その他にもT1WI矢状断では上位頸椎や下垂体など情報量が多いためプロトン密度よりも適切かと考えられます。
      ちなみにですが頭部領域においてプロトン密度(横断面ですが)が有用となるのは多系統委縮症や進行性核上性麻痺などの神経疾患くらいなのかと思います。
      過去問の際にご覧いただいていること、とても嬉しいです!

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