第69回診療放射線技師国家試験AM【MRIについて】

最近忙しく手をつけられていないためネタを捻出できずにいました。

久々に国試の過去問をみる機会があり、MRIの問題をみたら意外と認定試験対策としても使えそうでしたので解答作ってみました。

復習みたいな感じで使ってみてください。

１ヶ月くらい何も出来てませんが、時間見つけて更新頑張りたいと思います。

最近過去問ばかりですみません。

過去問

AM11 7TのMRIにおける水素原子核の共鳴周波数[MHz]に最も近いのはどれか。ただし、1.5 T での水素原子核の共鳴周波数を 64 MHz とする。

1． 43
2． 64
3．128
4．256
5．299

解答

1.×
2.×
3.×
4.×
5.○ラーモア周波数ω=γBより
ω=42.58MHz×7=298.06
7Tの共鳴周波数は298.06MHz
認定では磁気回転比γは絶対覚えていなければなりませんが、国試のためか丁寧に1.5Tでは64MHzとヒントがあるため、
64=γ×1.5・・・磁気回転比を失念していてもγ=42.7Mzと計算出来ますね。

AM12 5インチ RF コイルの写真を別に示す。撮影に適する部位はどれか。

1．脳
2．肝臓
3．手掌
4．脊髄
5．大動脈

解答

1.×
2.×
3.○
4.×
5.×
このコイルはサーフェイスコイルとも呼ばれ、受信専用のリニアタイプとなります。
感度分布は狭く、浅い範囲でしか撮影出来ないため、広い範囲や体内深くにある臓器(頭、肝臓、脊髄、大動脈)には向きません。
問からは手掌が適する部位になります。

AM15 MRI の SAR で正しいのはどれか。

1．被写体が大きいほど低下する。
2．フリップ角が小さい方が増加する。
3．1.5 T よりも3T の MRI 装置の方が増加する。
4．同じスライス枚数のとき、TR が短いほど低下する。
5．スピンエコー法よりも高速スピンエコー法の方が低下する。

解答

1.×被写体半径：R、大きいほどSARは上昇。
2.×フリップ角：θ、小さいほどSARは低下。
3.○静磁場強度：B₀、大きいほどSARは上昇。
4.×デューティサイクル：D、1TRあたりに含まれるRFパルスが与えるエネルギーの総和(D=ΣE_RF/TR)。TRが短いほどDは大きくなりSARは上昇。
5.×180°パルスが多いためSARは上昇。

SARの公式は必ず覚えておきましょう。
SARとパルスシーケンス

AM16 頭部 MR 像を別に示す。正しい組合せはどれか。2つ選べ。

1．ア — STIR 像
2．イ — FLAIR 像
3．ウ — 脂肪抑制 T1 強調像
4．エ — T2* 強調像
5．オ — 造影 T1 強調像

解答

1.×T2強調像・・・頭部においては水に近いCSF(脳脊髄液)が高信号、白質＜灰白質で信号が高い。
2.○FLAIR・・・水の信号を抑制するためCSFが無信号、CSF以外はT2WIのような信号形態なため白質＜灰白質。
3.×DWI・・・脂肪が低信号となるため皮下脂肪がほぼ目立たない。T2WIがベースとなっているため白質＜灰白質。他の画像と比べ空間分解能が低い傾向にあり、歪みも生じやすい。
4.×T1 強調像・・・水が低信号となるためCSFが低信号、T2WIと異なり白質＞灰白質。
5.○造影 T1 強調像・・・造影効果により静脈が高信号、BBBにより正常脳実質は造影効果はなくBBBのない松果体、下垂体、脈絡叢などは造影効果により高信号。

AM17 blood oxygenation level dependent〈BOLD〉法による脳のファンクショナル MRIで正しいのはどれか。2つ選べ。

1．脳組織の硬度を計測できる。
2．撮影データの統計学的解析が必要である。
3．磁化率効果を低減する撮影法が用いられる。
4．脳局所の水分子拡散を観察することができる。
5．脳局所のデオキシヘモグロビン濃度が信号強度に影響する。

解答

1.×
2.○
3.×
4.×
5.○

AM18 頭部 MR 像を別に示す。点線で囲んだ部分に存在するアーチファクトへの対策で正しいのはどれか。

1．位相補正を行う。
2．加算回数を減らす。
3．FOV を大きくする。
4．位相エンコード数を増やす。
5．スライス間のギャップを広げる。

解答

1.×
2.×
3.×FOVは小さくする。
4.○エンコード数を増やすと改善する。
5.×
アーチファクトはトランケーション(打ち切り)アーチファクトで位相方向へ出現しやすいです。周波数方向にも出現するのですが周波数は位相よりもエンコード数が大きい場合が多く目立ちにくくなります。
トランケーションアーチファクト