お久しぶりです。
記事を書く時間がなくかなり久しぶりの投稿となりました。
試験を受けられる方はレポート通りましたでしょうか。昔に比べてレポートの審査が結構厳しくなっているようですね。
もし通らなくても落ち込まないでくださいね。絶対辛いと思いますがこの資格は持っていても持っていなくてもぶっちゃけあまり人生に変わりがありません。もちろん絶対価値のある資格だと思いますが。
そして審査に通らなかったことを理由にMRIを嫌いにならないように。
頑張れるならMRIの勉強は続けてみてください。
では今回の記事です。
MRIを勉強しているとバンド幅(BW)という言葉が出てきますが、送信BWだとか受信BWだとかに区別されています。
僕は初めの頃「どちらもBWだから多分一緒だろ」と思っていましたが一応全然違います。
結論から簡単に言うと、送信BWはRFパルスをかけるときに設定されるもの。受信BWは画像を作るときに設定されるもの。
結局何言ってるか分かりづらいのでちゃんとご説明します。
送信バンド幅
MRIの信号は位置情報を持たないため、患者のどの部位から出た信号なのか分かりません。
そこで傾斜磁場を使用することで位置情報を与えます。
傾斜磁場は3軸(X,Y,Z)に使用しますが今回はかんたんにスライス方向(Z)だけについて考えます。
アキシャルを撮像する時、スライス方向とは患者の長軸となりますね。
(そもそもMRIでは横方向をX軸、縦方向をY軸、奥行方向をZ軸と規定されています。)
そして撮像したい部位をガントリーの中心に移動します。
今回は眼窩の撮影とすると目がガントリー中心になるように移動されます。
そしてRFパルスを照射するのですが、これだけでは帰ってくる信号に患者の位置情報がないためどこの信号か分かりません。
そこで傾斜磁場を印加します。(スライス選択傾斜磁場)
傾斜磁場は例として頭側を強くし足側を弱い線形とし、中心の眼窩は1.5Tとなります。(例として1.5T MRIの場合とし、分かりやすいように頭側で1.6T、足側で1.4Tと磁場勾配があるとします)
こうすることにより任意の断面を選択することができます。
磁場強度が1.5Tのときのラーモア周波数は、ω0 = γB0 より
42.6MHz × 1.5T = 64MHz
RFパルスの周波数を64MHzとすると、それと一致した1.5T部分を励起することができます。
しかしこれでは極めて狭い一部になってしまうので、もう少し広い範囲を撮影したいと思います。
今回は眼窩でしたので、傾斜磁場の1.48T〜1.52Tの目を覆う部分を撮像するとして、
ラーモア周波数より、
42.6MHz × 1.48T = 63MHz
42.6MHz × 1.52T = 65MHz
RFパルスを63〜65MHzの幅を持たせて印加することで、それに対応した1.48〜1.52Tの部分を励起し、信号を受信することが可能となりました。
この63〜65MHzの幅のことを送信バンド幅と呼び、この値がスライス厚を決定します。
RFパルスとバンド幅
少しややこしくなってしまうのですが、バンド幅はRFパルスをフーリエ変換したものです。
RFパルスはsinc曲線のためフーリエ変換をすると矩形となります。
広いRFパルスは狭いバンド幅となり、狭いRFパルスは広いバンド幅となります。
あまりしっくりこなければ、とりあえずは「こういうもの」だと捉えておきましょう。
スライス厚の厚さを決めるもの
先ほども説明したように、撮影したい部分に対応する周波数幅を持ったRFパルスを使うことでその部分を撮影することができます。
その周波数幅が送信バンド幅なのですが、その送信バンド幅が広ければスライス厚は厚くなり、送信バンド幅が狭ければスライス厚は薄くなることが分かります。
またスライス厚は傾斜磁場について考えると、磁場勾配を強くすると薄くなり、磁場勾配を弱くすると厚くなります。
以上をまとめると下記の式となります。
スライス厚は送信バンド幅と比例し傾斜磁場強度と反比例します。
ここで、もし僕たちがMRIを操作していてスライス厚を薄くしたいとして、パラメーターをいじるとき設定できるのは「スライス厚」だけになります。
「送信バンド幅」や「傾斜磁場強度」、もちろん「磁気回転比(γ)」も基本的に操作できないため結局「スライス厚」を設定変更してスライス厚を薄くします。
そしてこの時に値が変化するのは傾斜磁場強度なのだそうです。そのため傾斜磁場強度の大きさが最小スライス厚を決定するようです。(おそらく試験には出ません)
送信バンド幅について何となく理解できましたでしょうか。次は受信バンド幅です。受信バンド幅は僕らもいじることがあり、馴染みのあるパラメータとなります。
受信バンド幅
デジタルサンプリング
1つのMR信号はk空間の1行を埋め、位相エンコード分のMR信号が集まるとk空間が全て埋まるので1枚のスライスが完成します。
この1つのMR信号を取得する時間を読み取り時間(read out time)と言います。
この時間は信号をデジタルサンプリングする時間でもあるため、サンプリング時間とも呼ばれます。
MR信号は本来アナログ信号なのですが、このままではコンピューターで処理できないために、一度デジタル化しなければなりません。そこでアナログの信号を一定の間隔でサンプリング(抽出)することでデジタル化するのです。
デジタルサンプリングには注意しなければならない事があります。
それはアナログ→デジタルと変換したはいいものの、デジタル化したものが本来のアナログの形状を大きく損なって再現できないようでは意味がありません。
こううならないためには、1周期に対して少なくとも2回サンプリングすることで防げます。
これをナイキスト理論と言います。
要するに、デジタルサンプリングは次の式を満たさなければなりません。
上の式は半周期(T/2)に1回以上サンプリング(=1周期に2回以上サンプリング)しろよってことになります。
ここでやっと出てくるのですが、ΔTSの逆数が受信バンド幅となります。
ナイキスト理論の式を最大周波数(fmax)について変換すると、、
周波数fと周期Tは反比例なので
FOVとバンド幅について
式を使った理論的な話ばかりでしんどいですよね。
もうちょっとで理論的な話は終わるのであと少しです。
あるスライス内について、個々のピクセルからの情報をどうやって位置づけているのか。
それはスライス選択の時に傾斜磁場を用いたように、スライス内でもまた使うのです。
今回は周波数方向についてのみ考えます。
x軸方向を周波数方向とすると、周波数エンコード傾斜磁場を印加し、左側で磁場が低く右側で磁場が高くなるよう磁場に差をつけます。この時スライス内(FOV)の中心では磁場に変化がありません。
この時のある位置でのx軸方向の磁場Bxは、Bx=Gxとなります。
G磁場勾配 x距離
ある位置がFOVの一番右端の場合、距離xはFOVの半分なのでx=FOV/2と表せます。
この時のx軸方向の磁場Bxは最大となります。
ここで、両側に磁気回転比γを掛けると、ラーモアの式(ω=γB)よりγBは周波数として表せるので
f=γBx(max)=γG・FOV/2 (ここではωの代わりにfとします)
2fmaxはナイキスト周波数の時にも出てきたのを覚えていますでしょうか。
ここでBW=2fmaxとして
FOVはBWと比例し、傾斜磁場強度に反比例します。
まとめ
送信バンド幅はスライス選択の時のRFパルスのバンド幅。
受信バンド幅はサンプリングした信号に関するバンド幅。
スライス厚もFOVもどちらもBWと比例し傾斜磁場と反比例しているので覚えるのは簡単だと思います。
受信バンド幅については撮影者が任意で変更できて、アーチファクトやSNRと深く関わってくるのでまだまだ奥が深いのですが、長くなっちゃうので今回はここで終了します。
以下に簡単にまとめておきます。(これが全部ではないです。多分抜けているとこあるかも)
BW↑ SNR↓
BW↑ モーション抑制
BW↑ トランケーション目立つ
BW↑ 磁化率抑制
BW↑ 化学シフト狭まる
BW↑ サンプリング間隔狭まる
FSEはBW広い
DWIはBWすごい広い
過去問(第19〜13回)
19-問題 17 アーチファクトについて正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 折り返しアーチファクトは受信バンド幅を大きくすると改善する。
2. 打ち切りアーチファクトはzero fill interpolation処理で改善する。
3. マジックアングルアーチファクトは撮像断面を変更しても消失しない。
4. クロストークアーチファクトはインターリーブ法を使用することで改善する。
5. 化学シフトアーチファクトは脂肪が周波数の高い方へシフトする現象である。
1.×改善しない。
2.×見かけの空間分解能は向上するが打ち切りは改善しない。
3.○ マジックアングル
4.○
5.×脂肪が周波数の低い方へシフトする。化学シフト
19-問題 19 2D-FSE法について正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 磁化率効果に影響するのは主に受信バンド幅である。
2. MT効果やJカップリングにより脂肪は低信号となる。
3. スピンエコー法と比べて一般的に受信バンド幅は狭い。
4. 再収束パルスに可変フリップ角を用いるとSARが上昇する。
5. ETLが大きい場合T2減衰時間の延長によりブラーリングが起こる。
1.○
2.×脂肪は高信号となる。
3.×FSEの方がエコースペースを小さくするためにバンド幅は広く設定されている。
4.×180°パルスを多用するとSARが上昇しやすくなるため、低いFAを用いてSARを低減している。
5.○
19-問題 27 Single-shot EPI法の拡散強調像について正しいのはどれか。
1. 低いb値では強いMPGを印加する。
2. 低いb値では灌流の影響を受ける。
3. ケミカルシフトは周波数方向に生じる。
4. b値の組み合わせを変えてもADCは一定である。
5. 受信バンド幅に関係なく画像歪みは実行TEを短縮すると低減する。
1.×高いb値で強いMPGを使う。
2.○b値を高くすると灌流の影響は小さくなる。
3.×各位相エンコードステップが独立しておらず水と脂肪の位相ズレが積算し位相方向へケミカルシフトが発生。ケミカルシフト
4.×高いb値ではSNRが低下しノイズの影響によりADCも低下する。
5.×画像歪みは変わらない。
19-問題 46 dB/dtを低くする条件設定はどれか。2つ選べ。(他の撮像条件は変更なしで撮像時間の延長やコントラスト変更などは考慮しない)。
1. FOVを250mmから120mmに縮小した。
2. マトリクスサイズを256×256から512×512に増やした。
3. 受信バンド幅を130Hz/pixelから100Hz/pixelに減少させた。
4. 送信RFのバンド幅を固定したまま、スライス厚3mmから6mmに厚くした。
5. EPI法においてデータ収集時間を同時にし、EPI factorを64から128に増やした。
dB/dtは磁場(磁束密度)/時間、磁場の変化がどれだけ早いかを表し、「いかに早く強い磁場勾配を作るか」を表すSR(スルーレート)と座標の積となる。dB/dt=SR・x
選択肢から傾斜磁場が低くなるものを選ぶ。
1.× FOV=BW/γG
2.×
3.○
4.○磁場勾配を緩くするとスライス厚は厚くなる。
5.×
18-問題8 スライスの選択について正しいのはどれか。2 つ選べ。
1. スライス厚は受信バンド幅に比例する。
2. スライス選択傾斜磁場の強度を強くするとスライス厚は厚くなる。
3. スライス選択傾斜磁場の印加後は同じ面積の負の傾斜磁場を印加する必要がある。
4. 励起パルスの周波数帯域を狭くするとスライス厚は薄くなる。
5. 励起パルスの印加時間とスライス選択傾斜磁場の印加時間は同じである。
1.×送信BW。
2.×薄くなる。
3.×半分の面積の負の傾斜磁場。
4.○
5.×傾斜磁場の方が長い。
答えは一つ(4)だけ?
18-問題19 アーチファクトとその対策について正しい組み合わせはどれか。2 つ選べ。
1. 磁化率アーチファクト ––––––– TE の延長
2. ゴーストアーチファクト ––––––– 加算回数の増加
3. 化学シフトアーチファクト ––––––– 受信バンド幅の狭域
4. クロストークアーチファクト ––––––– インターリーブ法の使用
5. トランケーションアーチファクト ––––––– 部分フーリエ法の使用
1.×TEを短縮することで位相分散による信号低下の抑制。
2.○
3.×受信BWと化学シフトは反比例の関係。
4.○
5.×マトリックス数の増加やBWの狭小。
18-問題23 2 次元撮像、同一 FOV でマトリクス 256×256 から 512×512、スライス厚を 2 倍、受信バンド幅を 2 倍、パラレ ルイメージングファクターを 2 倍にした際の SNR は約何倍になるか。ただしジオメトリファクターは無視をすること。
1. 0.18
2. 0.25
3. 0.35
4. 0.50
5. 0.71
1.×
2.×
3.○
4.×
5.×
17-問題 16 正しいものはどれか。2 つ選べ。
1. k 空間の座標軸は周波数である。
2. 実信号は奇関数、虚信号は偶関数である。
3. 受信バンド幅はサンプリング間隔に比例する。
4. 実空間と k 空間は互いにフーリエ変換の関係にある。
5. 磁場勾配による位相変化は磁場勾配の強さに依存する。
1.×波数=(空間周波数):単位距離あたりの波の数[cycle/cm][rad/cm][cm-1]
2.×実信号:偶関数、虚信号:奇関数
3.×反比例、BW=1/ΔTs、ちなみにサンプリング時間Ts=N×ΔTs
4.○
5.○
17-問題 19 正しいものを選べ。
1. 磁化率アーチファクトを低減するため、受信バンド幅を狭くした。
2. マジックアングルアーチファクトを低減するため、TE を短縮した。
3. クロストークアーチファクトを低減するため、オーバーサンプリングを使用した。
4. ケミカルシフトアーチファクトは脂肪が周波数の低い方へシフトする現象である。
5. トランケーションアーチファクトを低減するため、位相エンコードマトリクス数を減らした。
1.×BWを広くする。位相分散の影響を少なくするためTE短縮、スライス厚やボクセルサイズの縮小でも低減できる。
2.×TE短縮では低減されない。TEの短いシーケンスで現れるためTEの長いシーケンスに変更する。マジックアングルの発生する組織と55°にならないようにポジショニングする。マジックアングル
3.×オーバーサンプリングは折り返しの防止法。クロストークはギャップを広くしたりインターリーブを用いる。
4.○
5.×マトリクス数を増やす。BWを狭くするなど。トランケーション
17-問題 20 シングルショット高速スピンエコー法で得られた肺尖部の T2 強調画像を示す。白矢印で示すアーチファクトを 改善するための正しい方法を選べ。
1. マトリクス数を増やす。
2. 受信バンド幅を広げる。
3. 生データフィルタを使用する。
4. 位相エンコード方向を変更する。
5. 検査室の扉が閉まっていることを確認する。
1.×トランケーションの対策
2.×ケミカルシフトや磁化率アーチファクトの対策
3.×トランケーションの対策
4.○折り返しアーチファクトの対策、画像では左右方向が位相エンコードとなり折り返しが発生。
5.×ジッパーアーチファクトの対策
16-11)正しいのはどれか。3つ選べ。
1. 磁場勾配により位相差を生む
2. 送信バンド幅が同じ場合、スライス厚は磁場勾配に比例する
3. 読み取り傾斜磁場にて dephasing lobe が無い場合はハーフエコーとなる
4. 位相エンコードステップの最大勾配磁場の強度は位相差が±πを超えないように設定する
5. 位相エンコードステップの直後に位相を再収束させるために極性が反転した磁場勾配を印可する
1.○
2.×スライス厚=BW/G
3.○dephasing lobeを付加することで中央にピークのある左右対称の信号ができる。しかし付加しなければ信号はその半分の形状となってしまう。
4.○超えると位相エリアシング(折り返し)となる。
5.×スライス選択傾斜磁場や周波数エンコード傾斜磁場では極性が反転した磁場勾配を印可する。
16-13)正しいのはどれか。2 つ選べ。
1. 受信バンド幅はサンプリング間隔に比例する
2. トランケーションはデジタルサンプリング数が有限であることに起因する
3. FOV を変化させずにピクセルサイズを小さくした場合,傾斜磁場強度が弱くなる
4. サンプリング時間はサンプリング間隔に周波数マトリクス数を除したもので示される
5. サンプリング周波数の半分よりも高い周波数を持つ信号をサンプルするとエイリアシングが起こる
1.×BW=1/ΔTs
2.○トランケーション
3.×傾斜磁場は不変 FOV=BW/γG
4.×サンプリング時間Ts = サンプリング間隔ΔTs × マトリクス数N
5.○
16-14)高速スピンエコー法について正しいのはどれか。3 つ選べ。
1. ETL が大きい場合、T2 フィルタリングが起こる
2. 様々な TE でエコーが収集されるため TE 平均化がおこる
3. ブラーリングは k 空間の低周波成分に信号の低いデータを格納することによる
4. 再収束パルスは狭い送信バンド幅をもつため MT パルスとして作用することがある
5. 脂肪が高信号になるのは J カップリングによる信号低下が脂肪に作用しにくいためである
1.○
2.○
3.×高周波成分に信号の低いデータを格納することによる。
4.×広い送信バンド幅を持つため。MT効果
5.○
高速スピンエコー
16-21)アーチファクトに対する対策で正しいのはどれか。3 つ選べ。
1. 流れ—– Gradient moment nulling (GMN)の利用
2. 磁化率—– View angle tilting (VAT)の利用
3.ゴースト—– TRを短縮する
4. 化学シフト—– 受信バンド幅を広くする
5. トランケーション(打ち切り)—– 位相エンコード回数を間引く
1.○GMN=FC、GMR、MAST
2.○読み取り時に周波数エンコード傾斜磁場とスライス選択傾斜磁場を同時に印加しシフトした信号を本来の位置に戻す方法。
3.×間隔狭くなる 間隔D=撮像時間(TR×Ny×NEX)/動きの周期
4.○
5.×エンコード数を増やす
15-14) 受信バンド幅を広げたときの影響に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。
- サンプリング時間は延長する。
- 化学シフトアーチファクトは低減する。
- 撮像可能なスライス枚数は増加する。
- モーションアーチファクトは顕著になる。
- SNR(signal-to-noise ratio)は向上する。
1.×短縮する。BW=1/ΔTs(サンプリング間隔)。Ts(サンプリング時間)=N×ΔTs。
2.○
3.○マルチスライス
4.×低減する。
5.×低下する。
16-22) メタルアーチファクト改善に関する正しい記述はどれか。3つ選べ。
- TE を延長する。
- 空間分解能を高くする。
- 高磁場装置で撮像する。
- 受信バンド幅を広くする。
- 高速スピンエコー法で撮像する。
1.×短縮する。
2.○
3.×より生じやすい。
4.○
5.○繰り返す180°パルスのため。
解説(FSE)
14-11)正しい記述はどれか。2つ選べ。
- 傾斜磁場は磁気モーメントの位相分散(dephasing)を伴う。
- 傾斜磁場強度が低いほど、薄いスライス厚の撮像が可能である。
- 送信 BW(バンド幅)が広いほど、薄いスライス厚の撮像が可能である。
- 励起 RF パルスはシンク波で左右のローブが多いほどフーリエ変換は矩形に近づく。
- スライス選択傾斜磁場(GZ)を t 時間印加したことによる位相分散を再収束させるには、極性が反対で同じ強さの傾斜磁場(-GZ)を同じ t 時間印加すればよい。
1.○
2.×スライス厚=BW/G
3.×
4.○
5.×スライス選択傾斜磁場(GZ)がかかると位相が分散していく、それを収束させるために極性が反対の-GZを半分の時間印加する
14-12)化学シフトに関する正しい記述はどれか。2つ選べ。
- 水の 1H 原子核の化学シフトは脂肪より約 3.5ppm 低い。
- 化学シフトアーチファクトは受信バンド幅を広げると強くなる。
- 第 2 の化学シフトアーチファクトはあらゆる方向に出現する。
- 第 2 の化学シフトアーチファクトを利用すると脂肪を定量できる。
- EPI を除き化学シフトアーチファクトは位相エンコード方向に現れる。
1.×高い。
2.×小さくなる。
3.○
4.○Multipoint Dixon
5.×EPIが位相方向、その他は周波数方向に現れる。
解説(化学シフト)
14-16) パラレルイメージングファクタを 1 から 2 に増やし、受信バンド幅を 2 倍、スライス厚を 2 倍にした場合の SNRはどれか。※ジオメトリファクタは無視する
1. 1/2
2. 1/√2
3. 1
4. 1 × √2
5. 2
1.×
2.×
3.○(1/√2)×(1/√2)×2=1
4.×
5.×
14-35)メタルアーチファクト対策に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。
1. スライス厚を厚くする。
2. エコー時間を長くする。
3. 繰り返し時間を長くする。
4. 受信バンド幅を広くする。
5. 面内空間分解能を高くする。
1.×薄くする。
2.×短くする。
3.×
4.○
5.○
14-38)水とサラダ油を混合したファントムの MR 画像を以下に示す。a の波線で囲まれた部分を拡大した画像が b、c、d であり、それぞれ受信バンド幅を変化させて撮像している。正しいのはどれか。3つ選べ。
- c は b よりも受信バンド幅が広い。
- 位相エンコード方向は L-R である。
- SNR が最も高くなるのは d である。
- アーチファクト(位置ずれ)は一般的に、サラダ油で生じる。
- アーチファクト(位置ずれ)は静磁場強度が強いほど生じやすい。
1.○ケミカルシフト(CS)とSNRに注目する。BWが大きいほどCSは小さくなるため、BWのサイズはb<c<dとわかる。またBWは大きいほどSNRが低くなるためdで一番SNRが低い。
2.×CSは周波数方向に現れる。aを見ると左右にずれていることが観察できるためL-Rが周波数方向、A-Pが位相方向。ちなみにEPIでは位相方向にCSが現れる。
3.×画像からでも判断できるが、論理的に考察するとBWが一番小さいのがbのためbが一番SNRが高く、dが一番低い。
4.○サラダ油(脂肪)が周波数の低い方にずれる。ちなみに上が油で下が水と思われる。
5.○
解説(化学シフト)
13-7) 同じ大きさの FOV でマトリクス数を 512×512 から 256×256 に変更し、受信バンド幅を 2 倍とした場合の SNR は何倍か。
1. 2 倍
2. 4 倍
3. 4× √2 倍
4. 4 / √2 倍
5. 2 / √2 倍
1.○
2.×
3.×
4.×
5.×
13-24) 化学シフトに関する正しい記述はどれか。(正解 3 つ)
1. 水の 1H 原子核の化学シフトは脂肪より約 3.5ppm 大きい。
2. 化学シフトアーチファクトは受信バンド幅を広げると強くなる。
3. 第 2 の化学シフトアーチファクトはあらゆる方向に出現する。
4. 第 2 の化学シフトアーチファクトは逆位相画像だけに見られる。
5. EPI を除き化学シフトアーチファクトは位相エンコード方向に現れる。
1.○
2.×小さくなる。
3.○
4.○
5.×EPIでは位相エンコード方向に、その他シーケンスは周波数方向に出現する。
解説(化学シフト)
13-39) 画像のアーチファクト(矢印)に関する正しい記述はどれか。(正解 3 つ)
1. エイリアス信号によるものである。
2. 受信バンド幅を狭くすることで防ぐことができる。
3. 飽和パルスを印可することで発生を防ぐことができる。
4. ナイキスト周波数以上でサンプリングしたときに発生する。
5. サンプリング間隔が標本化する周期の半分より大きい場合に発生する。
1.○
2.×
3.○
4.×ナイキスト周波数:標本化するときのサンプリング周波数の1/2。ナイキスト周波数以上でサンプリングすればアーチファクトはでない。
5.○折り返し防止には1周期に2つ以上のサンプリングが必要→サンプリング間隔が半周期以下でなければならない。
13-44) Fast SE 法にて受信バンド幅を広げたときの影響に関する正しい記述はどれか。(正解 1 つ)
1. SNR が増加する。
2. SAR が増加する。
3. 最短 TE が長くなる。
4. サンプリングタイムが長くなる。
5. モーションアーチファクトが増加する。
1.×低下する。
2.○
3.×BWを狭くした場合はサンプリング時間が長くなることでTEが延長する。
4.×短くなる。BWとは反比例の関係。
5.×低減する。
13-47) 頚部の撮像技術に関する正しい記述はどれか。(正解 2 つ)
1. Motion artifact を軽減するため、受信バンド幅を広く設定した。
2. Metal artifact を軽減するため、T1 強調像を spin echo 法から fast spin echo 法に変更した。
3. 検査依頼内容が脊椎転移性腫瘍の検索目的であったため、T2 強調像から撮像した。
4. 腕神経叢を評価するため、拡散強調像の脂肪抑制法は局所磁場均一性の高い CHESS 法を選択した。
5. CSF の flow void artifact 軽減のため、T2 強調横断像に fast spin echo 法を選択した。
1.○
2.○FSEでは180°パルスを多用することで磁場不均一による位相分散を常に再収束するためMetal artifact軽減となる。
3.×T1Sagで転移性腫瘍が低信号となる。T2から撮っても悪くはないが試験なので×
4.×CHESSでは磁場不均一に弱く腕神経叢のような(頸胸部Cor)撮影には向かない。STIRなどを使用。
5.×FSEに変更してもflow void artifactの改善にはならない、T2*などを使用。
解説(DWI)、解説(デルマトーム)
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