MRI認定試験過去問解説 第5回-24【解剖】

解剖に関しての問題です。

目次

問題

次の記述について、正しい文章を解答して下さい。

a. 内耳では、前庭と三半規管が聴力、蝸牛が平衡感覚を分担している。
b. 中枢神経系は脳と脊髄から構成されている。
c. 下垂体後葉からはオキシトシンとバゾプレシンのホルモンが分泌されている。
d. 脳幹は中脳、橋、延髄からなる。
e. 脳神経核は中脳(動眼、滑車、三叉)橋(三叉、外転、顔面、内耳)延髄(三叉、舌咽、迷走、副、舌下)にある。

解答

b,c,d

解説

耳の構造

耳は外耳、中耳、内耳と3つの部分からなります。

音は外耳を通り鼓膜を振動させます。

鼓膜の振動は耳小骨を震わせます。(ツチ→キヌタ→アブミ)

アブミ骨は前庭窓を押し、外リンパ液→蝸牛管のコルチ器→有毛細胞と伝わり蝸牛神経を通して音が伝わります。

音の高低により刺激される部分が異なり、高音では前庭窓に近く、低音になるほど奥の方へとなります。

前庭窓という前庭の名前が出てきましたが、音に関わるのは蝸牛です

一方平衡感覚は、

半規管の基部には膨大部という膨らみがあり、その壁には膨大部稜という隆起があり有毛細胞が並んでいます。

有毛細胞の毛はゼラチンで覆われています。

頭を動かすと半規管内のリンパ液が動いてゼラチンを押し、有毛細胞の毛が動くので傾きがわかります。

”はい”と頷く動きは前半規管
”いいえ”と首を振る動きは外側半規管
頭を横にかしげる動きは後半規管の有毛細胞が興奮します。

前庭には卵形嚢と球形嚢があり、平衡斑という上に平衡砂という結晶が乗っています。

頭が傾くと平衡砂は平衡斑の端にズレます。このズレを有毛細胞が感知し頭が水平でないことを中枢神経に伝えます。

よって、平衡感覚に関わるのは半規管と前庭です。

 

追記2024/9/13

コメントをいただきまして、追記させていただきました。

三半規管は以下のように配置されています。また外側半規管は28度の角度に位置しています。

そして各半規管は対側の半規管と平行となっており、右前半規管-左後半規管、右後半規管-左前半規管、右外側半規管-左外側半規管。このことより両側の半規管同士が関与し機能していると思われます。

そのため過去に書いた上記の頷くは前半規管、首傾げは後半規管というのは一部の半規管だけが機能しているのではなく両側の前後半規管同士で機能しているようです。(頷く-前半規管、傾げる-後半規管、振る-外側半規管は参考文献から引用しておりました)

また実験として、片側の三半規管を破壊された動物は異常行動を示すのですが、反対側の三半規管も破壊すると異常行動が弱まったそうです。

このことからも両側の三半規管が互いに影響しあっている事がわかります。

コメントいただきまして色々調べる機会となり勉強になりました。ありがとうございます。

神経系

神経は中枢神経と抹消神経に分けられます。

中枢神経は脳と脊髄からなります。

抹消神経は脳や脊髄から出る脳神経と脊髄神経があります。

脳は大脳、間脳、中脳、橋、小脳、延髄からなります。

中脳、橋、延髄をあわせて脳幹と言います。また間脳を脳幹に含める場合もあります。

脳神経は全部で12対あり脳神経核は、
中脳(動眼、滑車)
橋(三叉、外転、顔面、内耳)
延髄(舌咽、迷走、副、舌下)

三叉神経は橋から脳の外へ出ますが、脳神経核は脳幹に広く分布しています。

下垂体ホルモン

様々なホルモンを分泌し、生体の機能維持を司っています。

①下垂体前葉
甲状腺刺激ホルモン(TSH)-甲状腺ホルモンの分泌
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)-グル子コルチコイドの分泌
精腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)
 黄体刺激ホルモン(LH)-排卵、黄体形成、プロゲステロンテストステロンの分泌
 卵胞刺激ホルモン(FSH)-エストロゲンの分泌、精子成熟、卵胞の発育
プロラクチン(PRL)-乳汁産生
成長ホルモン(GH)-成長、蛋白合成、脂質の移送と異化

②下垂体後葉
抗利尿ホルモン(ADH,バソプレシン)-水分の再吸収、血液量の増加と血圧の上昇
オキシトシン-子宮平滑筋収縮、射乳、精管前立腺の平滑筋収縮

③中間部
メラノサイト刺激ホルモン(MSH)-メラニン合成の増加
→成人では分泌されません。胎児期や幼児期、妊娠中、病的状態でのみ分泌されます。

MRIにおいて、下垂体は矢状断と冠状断を主に撮像しますが、
正常下垂体はT1WIの矢状断でグレーからやや低信号、後葉は高信号を示します。
中枢性尿崩症ではこの高信号が消失します。

また矢状断撮像での注意点として、周波数エンコード方向を上下に設定すると斜台の脂肪が化学シフトアーチファクトにより下垂体後葉に重なる恐れがあります。

まとめ

解剖に関して、耳と神経とホルモンについてでした。改めて解剖学を勉強し直すのは範囲が広すぎてかなり厳しいですよね。基礎分野の正常解剖の出題割合は5%となっていますので、とりあえず過去問は最低限カバーして技術や臨床の勉強に時間を費やした方がいいかと思います。

参考書籍・文献

HUMAN ANATOMYカラー人体解剖学 P368,392
超実践マニュアルMRI P74

 

解答に関して、今まで培った知識や書籍・文献を参考に導出したもので、私の認識不足により間違っている可能性もございます。ご理解いただいた上でご参考ください。

MRI認定試験の合格を目指している方のお手伝いができればと思っています。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • はじめまして、
    記載には誤りがあるのではないかと思いますが、訂正させていただきます。
    頭を横に傾げる動作は前半規管、
    起き上がる(頷く)動作は、後半規管の有毛細胞が興奮する方が正しいと思います。

    • 初めまして、SHINさん。
      ご指摘ありがとうございます。
      まずこの記事についてですが、参考とした書籍「カラー人体解剖学」に記事の通りの記載があり、そのまま参考として記事とした経緯があります。
      またご指摘があってから改めて文献などで調べ直したのですが、三半規管は両側の半規管同士が平行となるように位置しており、それが互いに関与しているようで
      右の前半規管と左の後半規管、右の後半規管と左の前半規管、あとは左右の外側半規管同士。
      そのため一定の動きが一つの半規管にだけ関与するのではなく、各半規管同士相互しあっているのかと考えられました。
      時間ができましたら記事を書き直そうと思います。
      今後ともよろしくお願いいたします。

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