ADC(apparent diffusion coefficient)

目次

用語

見かけの拡散係数
2つ以上の異なるb値で取得した画像から算出
単位は[mm2/s]

解説

DWIでは、拡散制限されていない場合でもT2の影響を受けることにより高信号となる事がある。(T2 shine through)

ADCではT2の影響を除いた評価が可能となる。

 

正確なADCを算出したい場合、b値の設定は対象とするもののADCの逆数分だけ異なるb値で撮像する方法がある。

例えば対象物のADCが0.7~1.0×10-3mm2/sだと、b1は0s/mm2とした場合の最適なb2は1,000~1,400mm2/sとなる。

 

ADCはどのb値でも同じ値として算出されるべきだが、b値が大きくなるに従いSNRが低下するためノイズの影響によりADCも低下する。

問題(~第14回)

19-問題 27 Single-shot EPI法の拡散強調像について正しいのはどれか。

1. 低いb値では強いMPGを印加する。
2. 低いb値では灌流の影響を受ける。
3. ケミカルシフトは周波数方向に生じる。
4. b値の組み合わせを変えてもADCは一定である。
5. 受信バンド幅に関係なく画像歪みは実行TEを短縮すると低減する。

1.×高いb値で強いMPGを使う。
2.○b値を高くすると灌流の影響は小さくなる。
3.×各位相エンコードステップが独立しておらず水と脂肪の位相ズレが積算し位相方向へケミカルシフトが発生。ケミカルシフト
4.×高いb値ではSNRが低下しノイズの影響によりADCも低下する。
5.×画像歪みは変わらない。

17-問題 8 温度と MRI について正しいものを選べ.

1. 水の T2 値は温度の上昇に伴い延長する傾向にある。
2. 生体内のすべての組織は体温の上昇に伴い T1 値が延長する。
3. Chemical exchange saturation transfer(CEST)MRI に温度の影響はない。
4. Ice-water ファントム(0 °C)を用いると室温(25 °C)の水より ADC が高くなる。
5. MR spectroscopy による proton density fat fraction 測定では温度の影響はない。

1.○温度上昇に伴い相関時間τは短くなる(氷より液体の方が相関時間が短い)ためT2値は延長すると推測。参考
2.×水においては体温上昇に伴いT1値は延長する(体温低下に伴いT1値が低下する)が「すべての組織」というのが誤りか
3.×CEST化学交換飽和移動。pHと温度依存性がある。温度が上昇するほどCEST効果が大きくなり信号は低下する。CEST
4.×温度が高いほど拡散係数は高くADC値は高くなり、温度が低いほど拡散係数は低くなりADC値は低くなると思われる。DWI
5.×proton density fat fraction:プロトン密度脂肪率測定。肝臓の脂肪沈着を定量的に観察する。

17-問題 12 正しいものを選べ。

1. b 値は MPG を印加する間隔に依存しない。
2. 拡散係数の単位は秒毎平方メートルである。
3. 低い b 値では灌流の影響で拡散係数は低くなる。
4. b 値の増加に伴う信号低下は、拡散係数の小さい組織のほうがより顕著である。
5. b 値が同じ場合、十分な大きさの容器内では拡散時間を変化させても ADC 値は変化しない。

1.×b値=γ2G2δ2(Δ-δ/3) γ:磁気回転比、G:MPGの強さ、δ:MPGの印加時間、Δ:始めのMPGと次のMPGまでの時間
2.×平方ミリメートル毎秒(mm2/s)
3.×低いb値ほど灌流の影響は強くなり拡散係数は大きくなる
4.×拡散係数が小さい(DWIで高信号)ほど信号低下しにくい、拡散係数が大きいほど信号は大きく低下する→よりコントラストが大きくなる
5.○

17-問題 13 正しいものを選べ。FA:fractional anisotropy、IVIM:intravoxel incoherent motion 

1. FA 画像は 3 軸以上の MPG が必要である。
2. FA 値による拡散異方性は、0.5 より 1.5 のほうが強い。
3. IVIM は灌流の影響を除外した拡散のことである。
4. Radial diffusivity は拡散異方性が最も強い方向の拡散係数である。
5. b 値を大きくすると拡散係数の大きい組織は ADC 値を過小評価してしまう。

1.×6軸
2.×FA値は0〜1。異方性拡散が強いと最大値1に近づく。
3.×IVIM:Intra Voxel Incoherent Motion。拡散強調画像には灌流と拡散の両方が関与しているが、拡散だけの情報が欲しいためにb値を高くして灌流の影響を排除している。IVIMは灌流と拡散を同時に観察するもの。
4.×組織内の拡散において楕円形モデルなるものがあり長軸方向のAD:Axial diffusivityが強い
5.○b値を大きくなるに従いSNRが低下して、ノイズ信号のバイアスに影響を与えADC値も低下する。

17-問題 28 拡散強調画像について正しいものを選べ。

1. SNR が足りないので b 値を大きくした。
2. 歪みが強いのでエコー時間を短縮した。
3. 胸部や腹部の撮像には呼吸同期が必須である。
4. b 値の組み合わせを変えても ADC は一定である。
5. ADC が高くても正常組織より高信号になることがある。

1.×b値が大きいほどSNRは低下する2.×TEは歪みに影響しない
3.×呼吸同期なしでも十分な画像が得られる(例としてDWIBSなど)
4.×ADCは以下で計算されるが、正確に算出するにはADCの逆数分のb値が必要となる。b1は0として、b2は目的臓器のADCが0.7mm2/s程度の場合、b2=1400s/mm2程度となる。さらに高b値ではSNR低下によりADCが低下してくるためどんなb値でもADCは一定になるとは言えない。
5.○T2 shine through?

17-問題 38 正しいものを選べ。
DWIBS:diffusion weighted whole body imaging with background body signal suppression、QSM:quantitative susceptibilitymapping、SWI:susceptibilityweightedimaging、CEST:chemicalexchangesaturationtransfer

1. DWIBS は全身の拡散強調背景抑制法である。
2. QSM は脂肪有率を定量的に算出した画像である。
3. SWI は磁化率強調像を定量的に得る撮像法である。
4. Computed DWI は 2 つ以上の b 値を利用して任意の ADC 値を求める手法である。
5. CEST イメージングは脂肪と水のプロトン間での交換が起こる現象を示した画像である。

1.○
2.×定量的磁化率マッピング。磁化率を定量的に算出した画像であり、脳の鉄沈着を調べ認知症などに用いる。
3.×磁化率強調像を得る方法、定量的ではない。頭部において静脈の画像を得たり、外傷や腫瘍などに用いる。
4.× 2 つ以上の b 値を利用して任意のb値の信号強度を求める
5.×水のプロトンと特定のプロトン間での交換。生体内ではアミドやヒドロキシ基(内因性CEST)。他にはヨード系造影剤など(外因性CEST)。

17-問題 39 脳の dynamic susceptibility contrast(DSC)について正しいものを選べ。
ADC:見かけの拡散係数、rCBF:局所脳血流量、rCBV:局所脳血液量、MTT:平均通過時間、TTP:到達時間 

1. MTT 延長領域は灌流異常の最小範囲を表す。
2. TTP 延長領域は灌流異常の最小範囲を表す。
3. rCBV の低下と rCBF の著明な上昇領域は最終梗塞に至る。
4. DSC の評価方法には、ADC、rCBF、rCBV、MTT、TTP がある。
5. rCBV の維持または上昇と rCBF の低下が軽度の領域に、ペナンブラの存在が示唆される。

1.×MTT 延長領域は灌流異常の最大範囲→MTTのみではペナンブラの評価はできない
2.×TTP 延長領域は灌流異常の最大範囲→TTPのみではペナンブラの評価はできない
3.×rCBVの低下とrCBFの著明な低下領域は最終梗塞に至る
4.×ADCはDWIによる
5.○

15-28) 拡散イメージングに関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. 拡散強調画像は膿瘍内容が高信号になる。
  2. 水分子拡散の確率密度分布は生体内で正規分布しない。
  3. 完全な等方性拡散の FA(fractional anisotropy)値は1である。
  4. 水の ADC(apparent diffusion coefficient)値は実質臓器よりも低い。
  5. DTI(diffusion tensor imaging)の MPG(motion probing gradient)は 3 軸以上必要である。

1.○
2.○
3.×0となる。異方性拡散が強いと最大値1に近づく。
4.×高い。
5.×6軸以上。

14-2) 正しい記述はどれか。2 つ選べ。

  1. T1値≧T2値
  2. T2値>T2*値
  3. 脂肪のT1値 > 水のT1値
  4. 脂肪のT2値 > 水のT2値
  5. 大脳白質の ADC > 大脳灰白質の ADC

1.○縦緩和と横緩和は同時に始まるが横緩和が先に終了する(T1値>T2値)、ただし純水のみ同時に終了する(T1値=T2値)。
2.○外部要因も緩和に影響するT2*値は一番小さい。
3.×脂肪のT1値 < 水のT1値。T1WIのとき縦磁化の回復が早い(T1値小さい)脂肪が高信号。
4.×脂肪のT2値 < 水のT2値。T2WIのとき横磁化の減衰の遅い(T2値大きい)水が高信号。
5.×白質0.5~0.8×10-3mm2/sec < 灰白質0.8~0.9×10-3mm2/sec

14-21)Apparent diffusion coefficient(ADC)に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。

  1. ADC 値の単位は[s/mm2]である。
  2. 生体組織の温度は ADC 値に影響する。
  3. 運動検出傾斜磁場の印可時間や間隔は同じ b 値であれば ADC 値に影響しない。
  4. ADC 値を計算するためには運動検出傾斜磁場を 3 軸方向以上に印可しなければならない。
  5. 大きな MPG(b2)の信号強度を S2、小さな MPG(b1)の信号強度を S1 とすると ln(S1/S2)/(b2-b1)で求めることができる。

1.×mm2/s
2.○拡散係数D = kt / 6πηr(t = 温度、η = 粘度、r = 分子の半径)のため温度も影響すると考えられる。
3.×運動検出傾斜磁場:MPG、b=γ2G2δ2〔Δ-(δ/3)〕 G傾斜磁場強度、δMPG印加時間、ΔMPG間隔
4.×1軸でも可。
5.○それぞれのb値の信号強度の傾きがADC。

14-24)脳卒中のMRI検査に関する正しい記述はどれか。3つ選べ。

  1. 早期の脳梗塞部の多くは見かけの拡散係数(ADC)が上昇する。
  2. アルテプラーゼ(rt-PA)の適応選択に MRI を用いることができる。
  3. アルテプラーゼ(rt-PA)治療後の経過観察に MRI を用いことができる。
  4. 脳血管解離が疑われた場合でも拡散強調像で梗塞巣があればアルテプラーゼ(rt-PA)は適応である。
  5. 発症後 8 時間を超え 16 時間以内の急性期脳梗塞に対して血栓回収術を施行する場合は,灌流と臨床所見等のミスマッチを検出する必要がある。

1.×低下。
2.○
3.○
4.×動脈解離があれば適応外。
5.○16時間以内の急性期脳梗塞に対して、発症前mRS:0〜1、NIHSS:10点以上、DWI-ASPECTS:7点以上。灌流と臨床所見等のミスマッチは16〜24時間。

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