用語
FSE法とGRE法のハイブリッド
両方法の特徴を併せもつ
解説
FSEでは180°パルスを繰り返し一度に多数のSE信号を得ながら撮像しますが、そのSE信号の一部をGRE信号で置き換えたものがGRASEとなります。
FSEがベースにあり、信号収集にGREを加えたハイブリッドなシーケンスです。
例えば各SE信号の前後でGRE信号を収集できれば、SE信号1つに対して2つのGRE信号が得られるため、それだけ早く撮像することができます。
この早く撮像できるというのがこのシーケンスの一番の売りとなります。
使い道
このシーケンスは3D-GRASEとして用いられ、主な使い道はMRCPなどです。
胆管や膵管などを撮像するMRCPは基本的に3D-FSEが使用されており呼吸同期(横隔膜同期)で行われますが、呼吸の安定しない患者では撮像時間の延長や画質の劣化が生じてしまいます。
このMRCPを3D-GRASEで行うと息止めの範囲(約20秒以内)で撮像できてしまうので、自由呼吸が安定しなくても息止めが可能なら画質の劣化を抑えながら撮像できるのです。
さらに、FSEを用いたMRCPに比べTEが短いため、濃縮胆汁の描出も可能となります。
※濃縮胆汁ではT2値が正常の胆汁に比べ短いために長いTEでは減衰しきって信号が低下してしまい、本来白く映る胆嚢が黒くなってしまう。
また他の効果として、
180°パルスが減らせるためSARが軽減される。
MTC効果やJ-couplingも抑制される。
しかし、GREの特徴も併せ持つため、磁化率差による信号低下や歪みも生じるため、消化管のガスにより画質が低下する恐れもあります。
ちなみに胆管癌や膵癌の精査目的では、高空間分解能の画像を取得するべきであり、可能であれば呼吸同期(横隔膜同期)のFSEを用いたMRCPの方が望ましいと言えます。
認定試験でのポイント
登場回数はおそらく2023年の1回だけだと思います。
なのでとりあえずはFSE法とGRE法の両方の特徴を併せもつと理解できれば良いかと思います。
FSE法をベースに信号収集にGRE法を加えた方法。
FSE法よりSNRは低下する。
FSE法よりSARは低下する。
FSE法より高速化できる。
FSE法よりMTC効果やJ-couplingが抑制される。
FSEより静磁場不均一の影響を受けやすい。
過去問
問題 8 GRASEについて正しいのはどれか。2つ選べ。
1. FSEよりSNRが高い。
2. FSEよりSARが高い。
3. FSEより高速撮像ができる。
4. T2/T1のコントラストになる。
5. FSEより静磁場不均一の影響を受けやすい。
SEとGREを合わせた撮像法(gradient and spin echo)、
1.×SEより信号の低いGREが混ざっているためSNRは低下。
2.×RFパルスは減るためSAR低下。
3.○各SE信号の前か後または前後にGRE信号を取得するため高速化できる。
4.×
5.○GREの特徴
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