2022年出題、問題数50問
第1部
問題 1 脊髄の多発性硬化症が疑われている 20 歳の女性患者の頸椎・頚髄 MRI 横断像の撮像について、若手の技師に聞かれた。最も望ましいアドバイスを選べ。
1. 『T2 強調像を撮像してください』
2. 『T2*強調像を撮像してください』
3. 『FLAIR 像を必ず撮像してください』
4. 『椎間板ごとにそれに平行で撮像面を設定してください』
5. 『椎間板の部分を細かく(狭い間隔で)3枚は撮像してください』
問題 2 2 週間前の MRI で急性期の椎骨動脈解離が疑われている患者の経過観察 MRI が計画されている。適切でないものを選べ。
1. MRA は元画像も PACS に送る。
2. MRA は前回の検査を参考に椎骨動脈の異常部を含めて撮像する。
3. 拡散強調像は、前回の検査にて所見はなかったが、今回も撮像する。
4. B-PAS は、前回の検査にて椎骨動脈外径の拡張を確認しているが、今回も撮像する。
5. Black blood 高分解能 T1 強調像は、前回の検査にて壁肥厚を確認しているため、今回は省略する。
問題 3 胆道・膵疾患の MRI を撮像する際の正しい対応を選べ。
- 膵癌が疑われている症例は脂肪抑制 T1 強調像を撮像する。
- 膵胆管合流異常が疑われている症例は胆囊が撮像範囲外になってもよい。
- 膵胆管合流異常が疑われている症例は経口消化管造影剤(塩化マンガン四水和物)の投与が必須である。
- Intraductal papillary mucinous neoplasm (IPMN) の経過観察中の症例は MRCP のみの撮像でよい。
- Intraductal papillary neoplasm of bile duct (IPNB) が疑われている症例は肝臓が撮像範囲外になってもよい。
問題 4 正しいものはどれか。2 つ選べ。
1. 棘突起は全ての脊椎に存在する。
2. 赤色骨髄は脂肪組織を含まない。
3. 腰椎脊柱管内には Batson 静脈叢が存在する。
4. 椎体軟骨終板には感覚神経線維が存在しない。
5. 椎体は脊柱の全長にわたって前縦靭帯と後縦靭帯で結ばれる。
問題 5 矢印が示す脳神経を選べ。
1. 内耳神経
2. 三叉神経
3. 滑車神経
4. 外転神経
5. 舌咽神経
問題 6 核磁気モーメントが最も大きくなるものを選べ。ただし、中性子は陽子よりも小さい磁気モーメントを有し、原子番号および中性子数をそれぞれ Z および N と する。
1. 大きいZ
2. 少ないN
3. ZとNが同数
4. ZとZ+Nが奇数
5. Z および Z+N が偶数
問題 7 造影剤によって短縮した組織の T1 値を求めるための計算式を選べ。ただし、造影剤前の組織の T1 値を T10、組織の造影剤濃度を C、縦緩和率を R1 とする。
1. T10 / (1 + C * R1 * T10)
2. (C *T10) / (1 + R1 * T10)
3. (1 + C * T10) / (R1 + T10)
4. (R1 *T10) / (1 + C * T10)
5. (1 + T10) / (C * R1 * T10)
問題 8 温度と MRI について正しいものを選べ.
1. 水の T2 値は温度の上昇に伴い延長する傾向にある。
2. 生体内のすべての組織は体温の上昇に伴い T1 値が延長する。
3. Chemical exchange saturation transfer(CEST)MRI に温度の影響はない。
4. Ice-water ファントム(0 °C)を用いると室温(25 °C)の水より ADC が高くなる。
5. MR spectroscopy による proton density fat fraction 測定では温度の影響はない。
問題 9 造影検査について正しいものはどれか。2 つ選べ。
- 造影後の脂肪抑制法として STIR 法を用いた。
- 造影後の FLAIR 画像は造影効果が得られない。
- 造影後のフローアーチファクト対策として magnetization transfer パルスを印可した。
- 造影後の opposed-phase 画像にて造影効果が低減することを paradoxical-suppression と呼ぶ。
- 脳転移検索目的でガドテリドールを 0.2 ml/kg 静注したのち、造影効果が不十分であったため、追加で同製剤を 0.2 ml/kg 静注した。
問題 10 脂肪抑制法について正しいものを選べ。SPAIR:spectral attenuated inversion recovery
1. CHESS 法は高磁場装置に不向きである。
2. CHESS 法で主に抑制されるのは水の中心周波数から 2 ppm 低いメチレン基である。
3. STIR 法は CHESS 法よりも SNR が高くなる。
4. STIR 法の null point は TE の設定によって変動する。
5. SPAIR 法に利用される adiabatic pulse は高磁場や体幹部に有用である。
問題 11 Phase contrast(PC)法について正しいものを選べ。
- MR venography として利用しない。
- MRA を撮像する場合には Gd 造影剤を投与しても描出能は変わらない。
- 速度エンコードを過大に設定すると速度の折り返しアーチファクトが発生する。
- Bipolar gradient の正負を入れ替え、2 回撮像する事で磁場の不均一に伴うバイアスを除去する方法がある。
- 3 方向の速度を測定する場合(x,y,z)、計 6 回の撮像が必要となるが Hadamard encoding scheme を使用すると撮像回数を 3 回に減らすことが出来る。
問題 12 正しいものを選べ。
1. b 値は MPG を印加する間隔に依存しない。
2. 拡散係数の単位は秒毎平方メートルである。
3. 低い b 値では灌流の影響で拡散係数は低くなる。
4. b 値の増加に伴う信号低下は、拡散係数の小さい組織のほうがより顕著である。
5. b 値が同じ場合、十分な大きさの容器内では拡散時間を変化させても ADC 値は変化しない。
問題 13 正しいものを選べ。FA:fractional anisotropy、IVIM:intravoxel incoherent motion
1. FA 画像は 3 軸以上の MPG が必要である。
2. FA 値による拡散異方性は、0.5 より 1.5 のほうが強い。
3. IVIM は灌流の影響を除外した拡散のことである。
4. Radial diffusivity は拡散異方性が最も強い方向の拡散係数である。
5. b 値を大きくすると拡散係数の大きい組織は ADC 値を過小評価してしまう。
問題 14 ASL について正しいものを選べ。ASL:arterial spin labeling、CASL:continuous ASL、pCASL:pulsed continuous ASL、PASL:pulsed ASL
1. 血流信号を高くするためにはラベルの前後に RF パルスを印加する。
2. 理論的には 1.5 T 装置と 3.0 T 装置で計測した CBF 値は同じである。
3. pCASL は上流の任意の断面に対しに一度の RF 波を印加してラベルを行う。
4. CASL は上流の任意の断面に対し間欠的 RF パルスを印加してラベルを行う。
5. PASL は上流の任意の断面に対し連続波 RF パルスを印加してラベルを行う。
問題 15 Functional MRI(fMRI)撮像について正しいものを選べ。
1. 画像コントラストは T2*強調である。
2. サンプリングレートは TE で調節する。
3. 酸素と結合したヘモグロビンは常磁性を示す。
4. 血液が高度に酸素化されている部位では信号強度が低下する。
5. BOLD 効果に伴う信号上昇は神経活動の直後(1 秒以内)から生じる。
問題 16 正しいものはどれか。2 つ選べ。
1. k 空間の座標軸は周波数である。
2. 実信号は奇関数、虚信号は偶関数である。
3. 受信バンド幅はサンプリング間隔に比例する。
4. 実空間と k 空間は互いにフーリエ変換の関係にある。
5. 磁場勾配による位相変化は磁場勾配の強さに依存する。
問題 17 正しいものはどれか。2つ選べ。
- H-MR spectroscopy では悪性腫瘍のコリンピークが低下する。
- SWI において静脈は位相変化が少ないため高信号に描出される。
- Driven equilibrium(DE)パルスは T2 強調や脂肪抑制に使われる。
- 位相コントラスト画像は Qp/Qs(肺循環体循環血流比)を測定できる。
- BOLD 法では相対的にオキシヘモグロビンが低下するため信号が上昇する。
問題 18 Balanced SSFP シーケンスについて正しいものを選べ。SSFP:steady state free precession
1. フリップ角が低いほど、血液は高信号となる。
2. TR が長いほど、バンディングアーチファクトは低減する。
3. マルチショットではショット間隔が短いほど、血液は高信号となる。
4. Linear order に対し、centric order では CHESS パルスによる脂肪抑制効果が低い。
5. Linear order に対し、centric order では渦電流による縞模様のアーチファクトが出現しやすい。
問題 19 正しいものを選べ。
1. 磁化率アーチファクトを低減するため、受信バンド幅を狭くした。
2. マジックアングルアーチファクトを低減するため、TE を短縮した。
3. クロストークアーチファクトを低減するため、オーバーサンプリングを使用した。
4. ケミカルシフトアーチファクトは脂肪が周波数の低い方へシフトする現象である。
5. トランケーションアーチファクトを低減するため、位相エンコードマトリクス数を減らした。
問題 20 シングルショット高速スピンエコー法で得られた肺尖部の T2 強調画像を示す。白矢印で示すアーチファクトを 改善するための正しい方法を選べ。
1. マトリクス数を増やす。
2. 受信バンド幅を広げる。
3. 生データフィルタを使用する。
4. 位相エンコード方向を変更する。
5. 検査室の扉が閉まっていることを確認する。
問題 21 比吸収率(specific absorption rate:SAR)が最も高いシーケンスを選べ。ただし、TR は同じ時間とする。
1. Spin echo (ETL:1)
2. Fast spin echo (ETL:32)
3. Stimulated echo (ETL:1)
4. Inversion recovery spin echo (ETL:1)
5. Spin echo typed echo planer imaging (ETL:128)
問題 22 バイポーラグラディエントを利用する方法はどれか。3 つ選べ。
MPG:motion proving gradient、MEG:motion encoding gradient、DANTE:delay alternating with nutation for tailored excitation
1. MPG
2. MEG
3. VENC
4. CHESS
5. DANTE
問題 23 MRI 画像(強度画像)の SNR の測定について正しいものはどれか。2 つ選べ。
1. バックグラウンド領域でのノイズはレイリー分布を示す。
2. ピクセルシフトによる差分法では 1 枚の画像からノイズを評価できる。
3. 差分法を用いる場合は差分処理で負の値を 0 にするような閾値設定をする。
4. 差分法でノイズを測定する場合は差分画像の ROI の標準偏差に √2 の値を乗する。
5. バックグラウンド領域からノイズを求めるときは、ノイズを補正係数 1.253 の値で除する必要がある。
問題 24 NEMA における均一性の評価について正しいものを選べ。
- スライス厚は 10 mm より厚く設定する。
- 不均一度は 100×(Smax-Smin)/(Smax+Smin)で計算される。
- T1 値が 500 ms のファントムを用いた場合、TR は 1500 ms で問題ない。
- ノイズの影響を少なくするために 9 点ハイパスフィルタ関数を畳み込んでもよい。
- Normalized absolute average deviation(NAAD)は ROI 内の各ピクセル値の標準偏差から均一性を評価する方法である。
問題 25 画像のようなファントムを用いた NEMA の歪み測定を行う際の正しいものはどれか。2 つ選べ。
1. スライス厚は 5 mm 以下とする。
2. ファントム温度は 20±4°Cとする。
3. 長方形ピクセルで測定可能である。
4. 距離の測定間隔を 30°で 6 本として測定してもよい。
5. 測定値と実寸の誤差割合を算出し、最大誤差を表記する。
第2部
問題 26 肝臓 MRI 検査における肝脂肪について正しいものを選べ。
- MR elastography は脂肪定量が可能である。
- SE-T1 強調画像で脂肪肝は、健常な肝臓よりも低信号になる。
- MRI で計測する脂肪含有率は、proton density fat fraction と呼ぶ。
- マルチエコーDixon 法での脂肪含有率測定は、メチレン基のみの脂肪を測定している。
- 微量の脂肪沈着を確認するための T1 強調 dual echo 法は、1st TE を in-phase、2nd TE を opposed-phase で撮像する必要がある。
問題 27 心臓のシネ撮像について正しいものはどれか。2 つ選べ。
1. ストレイン解析が可能である。
2. 右心室の機能解析は駆出率を算出できない。
3. フェーズ数が少ないと駆出率を過大評価する。
4. 心電図波形が計測できないので,脈波同期で検査を行った。
5. 心臓の機能解析は,feature tracking 法で駆出率を算出する。
問題 28 拡散強調画像について正しいものを選べ。
1. SNR が足りないので b 値を大きくした。
2. 歪みが強いのでエコー時間を短縮した。
3. 胸部や腹部の撮像には呼吸同期が必須である。
4. b 値の組み合わせを変えても ADC は一定である。
5. ADC が高くても正常組織より高信号になることがある。
問題 29 正しいものはどれか。2 つ選べ。
MP2RAGE:magnetization-prepared 2 rapid gradient echo、MOLLI:modified Look-Locker inversion recovery、ECV:extracellular volume fraction
1.MP2RAGE法はT2 mapを得ることができる。
2. MOLLI 法は saturation pulse を利用している。
3.ECVを求めるには造影前後のT2 mapが必要である。
4. Look-Locker 法での T1 値測定には T1*効果が問題である。
5.Dualflipangle法によるT1 mapはB1の影響を受けやすい。
問題 30 脳の T2 強調横断像を示す。レンズ核を構成する部位を選べ。
1. a
2. b
3. c
4. d
5. e
問題 31 EOB-MRI の肝細胞相像を示す。Couinaud 分類による★印の肝区域を選べ。
1. S4
2. S5
3. S6
4. S7
5. S8
問題 32 健常者の心臓 SSFP 像を示す。正しい組み合わせを選べ。SSFP:steady state free precession
1. a – 三尖弁
2. b – 肺動脈弁
3. c – 二尖弁
4. d – 僧帽弁
5. e – 大動脈弁
問題 33 頭部 FLAIR 像を示す。正しいものはどれか。2 つ選べ。
1. TI が不適切である。
2. TR が不適切である。
3. 造影剤による信号増強を認める。
4. 脳脊髄液の信号抑制不良はクモ膜下出血との鑑別を要する場合がある。
5. アクイジション(パッケージ、分割)数を増やすと脳脊髄液の信号抑制不良を改善できる。
問題 34 大後頭孔レベルの頭部 T2 強調横断像を示す。病変の有無がより明瞭になる撮像方法を選べ。
1. T1 強調横断像
2. T1 強調矢状断像
3. T2*強調横断像
4. プロトン密度強調横断像
5. プロトン密度強調矢状断像
問題 35 頭部 arterial spin labeling 像を示す。正しいものを選べ。
1. TE が不適切である。
2. 静脈血からの信号を認める。
3. モーションアーチファクトを認める。
4. 動脈血流の乱流の影響を受けている。
5. Post-labeling delay を変更して追加撮像すると診断に有用である。
問題 36 脳実質内血腫(期間、ヘム鉄の変化、局在、T1 強調像)に関する正しい組み合わせを選べ。
1. 0~24時間 オキシヘモグロビン 赤血球内 軽度高信号
2. 1~3日 デオキシヘモグロビン 赤血球内 高信号から等信号
3. 3~7日 メトヘモグロビン 赤血球内 低信号
4. 3~7日 メトヘモグロビン 赤血球外 低信号
5. 1週間~ ヘモジデリン 赤血球外 低信号
問題 37 前立腺がんの MRI 検査について正しいものを選べ。
1. T2 強調像は鉄沈着の診断に有用である。
2. T1 強調像は移行域での過形成結節との鑑別に有用である。
3. 造影ダイナミックの 1 相目は 90 秒以下が推奨されている。
4. High b value 拡散強調像の b 値は 500 s/mm2 以下が有用である。
5. 高分解能 T2 強調像は小さな前立腺がんや被膜外浸潤の診断に有用である。
問題 38 正しいものを選べ。
DWIBS:diffusion weighted whole body imaging with background body signal suppression、QSM:quantitative susceptibilitymapping、SWI:susceptibilityweightedimaging、CEST:chemicalexchangesaturationtransfer
1. DWIBS は全身の拡散強調背景抑制法である。
2. QSM は脂肪有率を定量的に算出した画像である。
3. SWI は磁化率強調像を定量的に得る撮像法である。
4. Computed DWI は 2 つ以上の b 値を利用して任意の ADC 値を求める手法である。
5. CEST イメージングは脂肪と水のプロトン間での交換が起こる現象を示した画像である。
問題 39 脳の dynamic susceptibility contrast(DSC)について正しいものを選べ。
ADC:見かけの拡散係数、rCBF:局所脳血流量、rCBV:局所脳血液量、MTT:平均通過時間、TTP:到達時間
1. MTT 延長領域は灌流異常の最小範囲を表す。
2. TTP 延長領域は灌流異常の最小範囲を表す。
3. rCBV の低下と rCBF の著明な上昇領域は最終梗塞に至る。
4. DSC の評価方法には、ADC、rCBF、rCBV、MTT、TTP がある。
5. rCBV の維持または上昇と rCBF の低下が軽度の領域に、ペナンブラの存在が示唆される。
問題 40 薬機法で分類されている磁気共鳴画像診断装置のクラスを選べ。
1. クラス1
2. クラス2
3. クラス3
4. クラス4
5. クラス5
問題 41 JIS Z 4951:2017 について正しいものはどれか。2 つ選べ。
- 全身 SAR の通常操作モードは 4 W/kg 以下である。
- MR コンソールに表示されている B1+rms は 5 秒間の平均予測値である。
- 第一次水準管理操作モードでの全身 SAR 上限値は、周囲温度に依存しない。
- 頭部 SAR の上限値は、通常操作モード、第一次水準管理操作モードともに 3.2 W/kg である。
- 固定パラメータオプション:ベーシック(FPO:B)の円筒型 MR 装置に適用可能な B1+rms の上限値は 3.2 μT である。
問題 42 JIS Z 4952:2012 「磁気共鳴画像診断装置-第 1 部:基本画質パラメータの決定方法」に記載されている測定項目はどれか。2 つ選べ。
1. 空間分解能
2. 折り返しアーチファクト
3. モーションアーチファクト
4. Signal-to-noise ratio(SNR)
5. Contrast-to-noise ratio(CNR)
問題 43 MR 対応の周辺機器について正しいものを選べ。
1. カプノメータは手指に装着する。
2. 輸液ポンプは専用ラインを使用する。
3. 撮像中の心電図でも ST 波上昇を確認できる。
4. ストレッチャのフレームはニッケル製である。
5. パルスオキシメータは血圧計と同側に装着する。
問題 44 ステンレス鋼について正しいものはどれか。2 つ選べ。
1. 加工方法によって磁性が変化する。
2. チタン合金よりも生体内の耐食性が高い。
3. Ni が 8%以上含まれる場合、強磁性体である。
4. 結晶構造が体心立方格子であれば強磁性体である。
5. 非磁性のステンレス鋼は RF 波によって発熱しない。
問題 45 MRI で用いられる主な磁場について正しいものを選べ。
1. 静磁場、傾斜磁場(変動磁場)と高周波電磁場がある。
2. 静磁場による変位力(吸引力)は、磁場中心で最大となる。
3. 高周波電磁場による人体発熱は、ガントリ開口部で最大となる。
4. 変動磁場による人体への末梢神経刺激は、撮像領域の中心で最大となる。
5. 傾斜磁場コイルから発生する騒音は、撮像スライス厚が厚くなるほど大きくなる。
問題 46 電磁場の生体影響について正しいものはどれか。2 つ選べ。
1. 高周波磁場による熱吸収は、被写体の中心部で最大となる。
2. 高周波磁場による被写体への影響は、周波数によらず一定である。
3. 人体において、静磁場内で動く導体(血液など)に起電力が発生する。
4. 変動磁場による人体への影響として、心刺激と末梢神経刺激の閾値は同じである。
5. 静磁場による人体への影響として、めまい、頭痛や味覚変化などを生じることがある。
問題 47 クエンチについて正しいものはどれか。2 つ選べ。
- 原因不明で発生する(自然クエンチ)ことがある。
- 安全対策としてヘリウムガス濃度モニタを設置する。
- ヘリウムガスは床に充満するため頭を高くして移動する。
- ヘリウムガスは約 700 倍(0 °C、1 気圧)に膨張するため検査室の扉は内向き(検査室内から引く方向)に設計する。
- 排気口から放出されるヘリウムガスが人体に触れると低体温症や凍傷を引き起こす恐れがあるため立ち入り制限区域を設ける。
問題 48 本邦の臨床で用いられているガドリニウム造影剤について正しいものはどれか。2 つ選べ。
1. 経口投与と経静脈投与がある。
2. 細胞外液分布の造影剤は尿として排泄される。
3. 慢性腎臓病の高度~末期腎障害の患者さんにも安全に使用可能である。
4. 急性期(投与後 24 時間以内)の副反応として腎性全身性繊維症の報告がある。
5. ガドリニウムイオンは有毒な金属であるため、キレート剤と結合した製剤として用いている。
問題 49 日本磁気共鳴医学会から発令された「臨床 MRI 安全運用のための指針(2020 年 3 月 19 日 一部改訂版)」について正しいものはどれか。2 つ選べ。
- MRI 造影剤の使用においては同意書を取得すること。
- 定期的(少なくとも 1 年に 1 回)に保守点検が行われていることが望ましい。
- 安全管理チームの会合は 6 か月 1 回以上行い、施設内での医療従事者への講習を定期的に行うこと。
- 安全管理チームの構成員には磁気共鳴専門技術者あるいはそれに準ずる者が含まれることが望ましい。
- 安全管理責任者や安全管理担当者は MRI 造影剤に関する講習会に定期的(少なくとも 5 年に 1 回)に参加すること。
問題 50 日本磁気共鳴医学会から発令された「全身 MRI 撮像の指針(2020 年 3 月 23 日 初版)」について正しいものはどれか。2 つ選べ。
1. 1.5 T 装置による撮像を必須とする。
2. 全身拡散強調像は原則 冠状断を撮像する。
3. 撮像範囲は頭頂部から骨盤骨下端までを必須とする。
4. 微小病変や活動性が低い病変が偽陰性となる可能性がある。
5. 臨床に用いる場合は本検査の注意事項を患者へ説明して書面にて同意をとること。
コメント
コメント一覧 (4件)
はじめまして。
第17回試験の合格者です。
過去問の解答が正式に発表されてない中、こちらのサイトを参考にさせていただきました。
また、過去問解答以外も単元毎に非常にわかりやすくまとめられており、勉強する上で非常に助けられました。
こちらのサイトのおかげで合格できたと思います。
私以外にも多くの受験生が助けられていると思います。
大変だと思いますが、これからも頑張ってください。
コメントいただきありがとうございます。
明確な目標がないまま始めたブログのため、役に立っているのか自己満足しているだけなのか不安になることがございます。
ですがそのように言っていただけると大変光栄でとても嬉しく、今後の励みになりました。
まだ半人前で教えられるような立場ではありませんが利用していただけると幸いです。
今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。
また、合格されたのはsakura-flower様の努力と実力の結果と思います。本当におめでとうございます。
はじめまして。
いつもお世話になっております、と言いたいくらい過去問を解く際には必ず拝見させて頂いております。
問34について教えて頂きたいです。
素人質問で本当に恐縮なのですが、キアリー奇形となるとSAGに選択肢が絞られると思うのですが、選択肢5のプロトン密度強調ではなくT1なのはどういった理由からなんでしょうか?
T1の方がプロトン密度強調よりCSFが黒く描出されて、全体的なコントラストがついて見やすいからでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
みなみ様のおっしゃる通りで、T1WIではCSFが低信号となりプロトン密度よりも脳とのコントラストが高く見やすいためです。またキアリ奇形では脊髄空洞症なども合併していることがあり、CSFと脊髄とのコントラストが悪ければ見逃してしまう可能性もあります。その他にもT1WI矢状断では上位頸椎や下垂体など情報量が多いためプロトン密度よりも適切かと考えられます。
ちなみにですが頭部領域においてプロトン密度(横断面ですが)が有用となるのは多系統委縮症や進行性核上性麻痺などの神経疾患くらいなのかと思います。
過去問の際にご覧いただいていること、とても嬉しいです!