【第20回】MRI専門技術者認定試験 過去問

2024年10月出題、問題数50問

目次

第1部

問題 1  抗アミロイドβモノクロ-ナル抗体製剤投与に関連するアミロイド関連画像異常(ARIA)について正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. ARIA-E は T2 強調像で評価する。
2. ARIA-E は脳実質における血管原性浮腫を意味する。
3. ARIA-H は T2* 強調像または SWI で評価する。
4. ARIA-H は脳実質における微少出血を意味する。
5. ARIA の発現は製剤投与から 14 週以内に多い。

解答
1.×FLAIR画像
2.×脳実質における血管原性浮腫と脳溝における滲出液貯留
3.○
4.○
5.×ARIA-Eの70%が投与開始3ヶ月以内、92%が6ヶ月以内に発現し、血管透過性の亢進が収まると間質液が吸収されて浮腫性病変は退縮してくるためARIA-Eの80%は4ヶ月までに消失する。ARIA-Hでは赤血球を貪食したマクロファージが容易に消失しないことから長期間遺残する。
問題1は新しい内容で選択肢が難しいです。確実に正解と思われる3、4を○としました。

問題 2 子宮頚癌の局所進展度評価において最も有用な MRI 画像はどれか。2 つ選べ。

1. T2 強調像
2. 拡散強調像
3. 単純 T1 強調像
4. 造影 T1 強調像
5. 脂肪抑制 T1 強調像

解答
1.○病期の診断はT2WIが基本
2.○T2WIのみの診断よりもDWIも組合わせることで傍組織浸潤の診断能が高くなる
3.×
4.×腫瘍と正常組織とのコントラストが良く診断能が上昇するとの報告はあるが適応が限られており必ずしも診断能改善には寄与しない
5.×

問題 3 細胞外液性ガドリニウム造影剤が Gd-EOB-DTPA よりも推奨される病態について正しいものはどれか。2 つ選べ。

1. 肝転移
2. 肝血管腫
3. 高度の肝硬変
4. 乏血性肝細胞癌
5. 限局性結節性過形成

解答
1.×細胞外液性Gdよりも微細病変の視認性が高い。
2.○EOBでは移行相、肝細胞相でpooling像が不明瞭でpseudo-washout所見が生じやすく、肝血管腫と肝腫瘍を厳密に鑑別する場合は細胞外液性Gdが推奨される。
3.○肝細胞相にて肝実質の十分な造影効果が期待できない。腎機能を考慮しつつ細胞外液性Gdの使用を考慮する。
4.×細胞外液性GdよりEOBを使用するべきとの報告が多い。
5.×EOBにおいて肝細胞相での取り込みが見られる事が多く、細胞外液性Gdよりも有用。
※余談:細胞外液性ガドリニウム造影剤に比べGd-EOB-DTPAのT1短縮作用は2倍であるが、Gd濃度半分・投与量も半分なため早期の造影効果は細胞外液性ガドリニウム造影剤よりも弱くなる。

問題 4 中脳から起こる脳神経はどれか。

1. 眼神経
2. 視神経
3. 嗅神経
4. 動眼神経
5. 舌咽神経

解答
1.× 三叉神経第1枝 橋
2.× 間脳
3.× 大脳
4.○
5.× 延髄
脳神経

問題 5 各疾患と関連する骨の組み合わせについて正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. Sever 病 ――――――― 踵骨
2. Köhler 病 ――――――― 距骨
3. Osgood-Schlatter 病 ―― 腓骨
4. Kienböck 病 ―――――― 舟状骨
5. Panner 病 ――――――― 上腕骨小頭

解答
1.○セーバー病(シーバー病)成長期の踵骨に生じる。運動などにより踵の成長軟骨に繰り返し負荷がかかることで炎症が生じる。
2.×ケーラー病。成長期の足の舟状骨。何らかの原因により舟状骨への血液供給が不足し壊死してしまう。
3.×オスグッドシュラッター病。成長期の脛骨。過度な運動により大腿四頭筋からつながる脛骨粗面に負荷が加わり軟骨が剥がれたりする。
4.×キーンベック病。月状骨。青壮年期に多い。何らかの原因により月状骨への血流が障害され壊死する。
5.○何らかの原因による血流障害で発症。10歳以下に多い。運動など頻繁に肘を使う事が誘因の一つではないかと推測されている。

問題 6 1H の共鳴周波数が 127.8 MHz の MRI 装置において水と脂肪のスピンが in-phase を繰り返す周期はどれか。ただし、C:ケミカルシフト[ppm]、γ:磁気回転比[42.6 MHz / T]とする。

1. γ / (3・C)
2. 1 / (2・C・γ)
3. 1 / (3・C・γ)
4. 1 / (6・C・γ)
5. 6・C・γ

解答
1.×
2.×
3.○ 第2のケミカルシフト
4.× opposed phaseの式
5.×

問題 7 縦緩和能(r1) 4 mM-1・s-1 の造影剤によって、縦緩和時間 1176 ms の組織が 0.1 mM の濃度で造影された。造影後の縦緩和時間[ms]はどれか。

1. 725
2. 750
3. 775
4. 800
5. 825

解答
1.×
2.×
3.×
4.○
5.×


問題 8 MRS について正しいのはどれか。

1. PRESS 法は位相エンコードを行う。
2. TR を変化させるとピーク比は変化する。
3. PRESS 法は STEAM 法より TEを短く設定できる。
4. 磁場が不均一になるとスペクトルの幅は狭くなる。
5. 加算回数を増やすとスペクトルの高さは高くなる。

解答
1.△ Multi-voxelの場合位相エンコードが行われる
2.○
3.×STEAM法の方がTEを短くでき、短いT2値をもつ代謝物の測定に適する
4.×
5.×

問題 9 生体組織の拡散強調像の撮像における拡散時間について正しいのはどれか。

1. TRで変化する。
2. 温度で変化する。
3. MPG の印加時間のことである。
4. 変更すると ADC 値も変化する。
5. 変更しても b 値は変化しない。

解答
1.×
2.×
3.× b値=γ2G2δ2(Δ-δ/3) γ:磁気回転比、G:MPGの強さ、δ:MPGの印加時間、Δ:始めのMPGと次のMPGまでの時間 (Δ-δ/3):拡散時間
4.○ 「b値が同じ場合」という前提だが、理論的には拡散時間を変更してもADC値は変わらない。しかし問は生体組織ということなので拡散時間を変更するとADC値も変化すると考えられる。参考第17回-12
5.×

問題 10 圧縮センシング MRI について正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. L1 ノルムは画素値の 2 乗和の平方根である。
2. 非ゼロ成分の少ない状態をスパースという。
3. 等間隔な k 空間のサンプリングが必要である。
4. ウェーブレット変換は信号の低周波成分を分離する。
5. ナイキスト理論に基づくアンダーサンプリングが必要である。

解答
1.×L1ノルム:絶対値の総和 L2ノルム:2 乗和の平方根
2.○スパース=疎:ゼロ成分の多い画像
3.×不均等に行うランダムサンプリング
4.○
5.×

問題 11 T1 値が変化しないのはどれか。

1. 温度
2. 表面効果
3. 静磁場強度
4. 造影剤の使用
5. IR pulse の使用

解答
1.×高いほど延長する
2.×短縮する
3.×高いほど延長する
4.×短縮する
5.○変化しない
T1値

問題 12 パルスシーケンスについて正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. GRASE は FSE より MT 効果が強くなる。
2. STIR はT1 値の長い組織が強調される。
3. TR を延長すると SSFP 状態に移行しやすくなる。
4. ETL を大きくすると T2 フィルタリング効果を低減できる。
5. Balanced SSFP はフリップアングルを小さくするとプロトン密度を強調できる。

解答
1.× GRASE
2.○
3.× TRを短縮する
4.× FSE
5.○

問題 13 RF パルスとその効果の組み合わせについて正しいものはどれか。2 つ選べ。

1. DE ―――― T1 コントラストの強調
2. IR ―――― 横緩和の調整
3. MT ―――― 自由水の飽和
4. CHESS ――― 脂肪の抑制
5. Spoiler ―― 横磁化の消失

解答
1.× T2
2.× 縦緩和
3.× 結合水
4.○
5.○

問題 14 GRE 法について正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. SSFP 状態にするには TR を短くする。
2. SE 法に比べて磁場不均一の影響を受けにくい。
3. Spoiled GRE 法は T2 強調像に使われる。
4. Spoiled GRE 法はコヒーレント型である。
5. Spoiled GRE 法は残留横磁化の影響を無視することができる。

解答
1.○
2.×受けやすい
3.×T2*
4.×インコヒーレント型
5.○

問題 15 MRA について正しいものはどれか。2 つ選べ。

1. PC 法は双極磁場勾配を用いる。
2. PC 法の VENC は対象血管の推定最大流速に設定する。
3. TOF 法は PC 法に比べ流速の定量性が高い。
4. TOF 法は TE を延長すると血流の信号強度が上昇する。
5. TOF 法は MT パルスを印加すると血流と脳実質とのコントラストが向上する。

解答
1.○
2.×最大流速の4/3倍にすると良いと言われている PC法
3.×PCの方が高い
4.× TEを短縮したほうが位相分散が減少するため
5.○ MTパルスを印加することで脳実質の信号を減少させる MT効果

問題 16 拍動によるゴーストとゴーストの間隔が広くなるのはどれか。2 つ選べ。

1. TE の延長
2. TR の延長
3. 加算回数の増加
4. 受信帯域幅の広域化
5. 周波数エンコード数の増加

解答
1.× 間隔D=撮像時間(TR×Ny×NEX)/動きの周期
2.○
3.○
4.×
5.×

問題 17 受信帯域幅を広げると改善するアーチファクトはどれか。2 つ選べ。

1. 磁化率
2. 打ち切り
3. 折り返し
4. 化学シフト
5. マジックアングル

解答
1.○影響少なくなる BW
2.×より目立つ
3.×関係なし
4.○間隔が狭くなる
5.×関係なし

問題 18 SE 法と比べたときの FSE 法の特徴について正しいのはどれか。2つ選べ。

1. SAR を低くすることができる。
2. J 結合のデカップリングにより脂肪は高信号になる。
3. 異なる TE のエコーから画像化するため脳実質のコントラストが上昇する。
4. 連続した 180 度パルスによる磁化移動がおこり軟部組織の信号は上昇する。
5. T2 減衰によるブラーリングの抑制にはエコースペースの短縮が有効である。

解答
1.×SAR高くなる
2.○
3.×TE平均化によりコントラストは低下する
4.×MT効果により軟部組織の信号は低下する
5.○
FSE

問題 19 Balanced SSFP 法について正しいのはどれか。

1. 信号強度は TR に依存する。
2. 全て定常状態で信号を収集する。
3. FID、SE および STE の信号を同時に収集する。
4. Gd 造影剤を投与しても信号強度は変化しない。
5. ショット間隔によって画像コントラストは変化しない。

解答
1.×TR、TEはコントラストの指標とならない、信号強度はT2/T1
2.×移行期からも収集する
3.○
4.×変化する
5.×変化する

問題 20 パラレルイメージングについて正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. SAR を低減できる。
2. SNR は reduction factor に正比例する。
3. ボリュームコイルよりサーフェスコイルのほうが有利である。
4. SENSE 法は k-space 領域で折り返し情報を展開する。
5. SMASH 法はコイルの感度分布を利用して折り返し画像を展開する。

解答
1.○ パラレル
2.×ルート反比例
3.○
4.×SMASH
5.×SENSE


問題 21 均一ファントム画像(強度画像)を示す。A と B は同一条件で撮像し、C は A と B の差分画像である。これらの画像を用いた SNR 測定方法について正しいのはどれか、2 つ選べ。

1. ROI1 および ROI2 内の信号分布は等しい。
2. ROI1 とROI2 の平均値を足した値を信号値とする。
3. ROI3 からノイズを求める場合は標準偏差の値に√2 を乗じる。
4. 差分処理において ROI3 の最小値が0になる閾値処理を行う。
5. 信号ムラやトランケーションアーチファクトの影響を排除できる。

解答
1.○ SNR測定
2.×
3.×
4.×
5.○

問題 22 NEMA における均一性の評価について正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. ファントム温度は 20±4℃とする。
2. 測定 ROI の最大値と最小値からスパンを求める。
3. 均一度は 100×(Smax-Smin)/(Smax+Smin)で計算する。
4. T1 値が 500 ms のファントムを用いる場合、TR は 2500 ms で良い。
5. AAD(absolute average deviation)は、極端に大きな偏差のピクセルの影響を受けやすい。

解答
1.× 22±4℃ 均一性評価
2.○
3.×不均一度の式
4.○
5.×影響を受けにくい

問題 23 JIS Z4952: 2022 における 2 次元撮像のスライス厚測定(傾斜スラブ法)について正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. GRE 法で撮像する。
2. スライスプロファイルの SNR は 20 以上とする。
3. ウェッジが 2 つあるのは磁場不均一を補正するためである。
4. ファントム内容液の T1 値が 400 ms の場合、TR は 1000 ms で良い。
5. 傾斜領域が 20 ピクセルの撮像条件からスライス厚を薄くする場合、FOV は小さくしなければならない。

解答
1.× SE スライス厚測定
2.○
3.×回転補正
4.×T1値 × 3 以上なので1200ms以上
5.○

問題 24 Heavy T2 強調 MRCP について正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. 長い TE では濃縮胆汁の描出能が向上する。
2. 胆道気腫と胆道結石の鑑別は MIP 像が有用である。
3. 長いエコースペースでは蠕動の影響が大きくなる。
4. 細胞外液性ガドリニウム造影剤投与後は血液の信号が抑制される。
5. 十二指腸乳頭切開術後は、塩化マンガン四水和物内用液の飲用後の検査が推奨される。

解答
1.×濃縮胆汁ではT2値短縮により長いTEで描出されなくなる
2.× Axialが有用
3.○
4.○
5.×EST(十二指腸乳頭切開術)後は経口陰性造影剤が胆管に逆流したとの報告があるため推奨とはならない

問題 25 脳の MR 検査について正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. ASL は局所脳血液量を定量できる。
2. MRS を解析するソフトウェアに LCModel がある。
3. Functional MRI の解析には Tofs モデルが用いられている。
4. 拡散テンソルトラクトグラフィは交差線維の描出が正確である。
5. VBM を使用したソフトウェアに早期アルツハイマー型認知症診断支援システムがある。

解答
1.×局所脳血液量は定量できない
2.○
3.×
4.×交叉線維の描出に限界がある
5.○

問題 26 SWI について正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. 動脈系の描出に適している。
2. 磁化率による位相差の違いを強調している。
3. 最小値投影画像では石灰化と出血の鑑別ができる。
4. 血流の位相分散を促進させるために流速補正は使用しない。
5. 微量な鉄沈着やデオキシヘモグロビン量の違いを描出できる。

解答
1.×静脈系
2.○
3.×
4.×血流による位相変化を抑制するため3軸に流速補正をかけている
5.○

問題 27 頭部の T2 強調横断像を示す。半卵円中心レベルはどれか。

1. a
2. b
3. c
4. d
5. e

解答
1.
2.
3.
4.○大脳皮質直下の白質。水平断にて側脳室の上端より上で側脳室が見えていないレベル。
5.

問題 28 大脳の神経線維束の拡散テンソルトラクトグラフィを示す。弓状束はどれか。

1. a
2. b
3. c
4. d
5. e

解答
1.
2.
3.○脳の前頭皮質と側頭-頭頂連結部の後部を結ぶ神経経路。
4.
5.

問題 29 右肩の T2 強調冠状断像を示す。上腕二頭筋長頭腱はどれか。

1. a
2. b
3. c
4. d
5. e

解答
1.○
2.
3.
4.
5.

問題 30 脳実質内血腫の血球ヘム鉄の経時変化について正しいのはどれか。

1. オキシヘモグロビン …→ デオキシヘモグロビン → メトヘモグロビン ……→ ヘモジデリン
2. オキシヘモグロビン …→ デオキシヘモグロビン → ヘモジデリン …………→ メトヘモグロビン
3. オキシヘモグロビン …→ メトヘモグロビン ……→ デオキシヘモグロビン → ヘモジデリン
4. デオキシヘモグロビン → オキシヘモグロビン …→ メトヘモグロビン ……→ ヘモジデリン
5. デオキシヘモグロビン → オキシヘモグロビン …→ ヘモジデリン …………→ メトヘモグロビン

解答
1.○
2.
3.
4.
5.

問題 31 緊急検査で撮像された拡散強調像を示す。この患者の症状について最も疑われるのはどれか。

1. 構音障害
2. 右視野障害
3. 左視野障害
4. 右上肢麻痺
5. 左上肢麻痺

解答
1.
2.
3.○
4.
5.

問題 32 小脳橋角部のT1 強調像、 T2 強調像および拡散強調像を示す。矢印が示す腫瘤として最も疑われる疾患はどれか。

1. 髄膜腫
2. 類皮嚢胞
3. 神経鞘腫
4. くも膜嚢胞
5. 類表皮嚢胞

解答
1.
2.
3.
4.
5.○epidermoid cyst T1WI:低信号(高信号となることもある)、T2WI:高信号、DWI:高信号、ADC:低値。小脳橋角部に多い。

問題 33 健常成人の脳(図左が関心領域)の 1H-MRS スペクトラム(TR 2000 ms, TE 35 ms)を示す。矢印が示すピークの代謝物はどれか。

1. Lactate
2. Myo-inositol
3. N-acetyl aspartate
4. Creatine and phosphocreatine
5. Choline-containing compounds

解答
1.
2.
3.
4.
5.○ 3.2ppm付近のため MRSピーク

問題 34 心臓 MRI 検査で ECV を計測するために必要な血液検査データはどれか。

1. eGFR
2. 赤血球数
3. 血小板数
4. ヘマトクリット
5. コリンエステラーゼ

解答
1.
2.
3.
4.○ ECV
5.

問題 35 肝臓疾患の造影剤使用について正しいのはどれか。

1. Gd-EOB-DTPA 造影剤投与後の T1 強調像で、1 cm 以下の転移性肝癌の検出能は報告されていない。
2. 肝硬変の SPIO 造影剤投与後の画像では、T2 強調像や T2* 強調像で肝実質の信号低下が増強される。
3. 「肝内胆管癌診療カイドライン 2021 年版」では、肝内胆管癌の腫瘍進展範囲の診断に Gd-EOB-DTPA 造影剤を推奨している。
4. 「画像診断ガイドライン 2021 年版」では、肝細胞癌と肝血管腫の鑑別に Gd-EOB-DTPA 造影剤を使用した検査を行うことを推奨している。
5. 「画像診断ガイドライン 2021 年版」では、肝細胞癌と限局性結節性過形成の鑑別に Gd-EOB-DTPA 造影剤よりも細胞外液性 Gd 造影剤が推奨される。

解答
1.×
2.×肝硬変によりSPIOの取り込みが低下し、T2WIによる低信号下の程度は正常肝に比べ弱まる。
3.○
4.× 肝細胞癌と肝血管腫の鑑別に関する検討は未だ十分になされていないがDWIを併用することで有用となる可能性がある。
5.× FNHの確定診断としてEOBの肝細胞相の所見は有用。

問題 36 足部の T2 強調像と T1 強調像を示す。最も疑われる腫瘍はどれか。

1. 腱鞘巨細胞腫
2. 足底線維腫症
3. ユーイング肉腫
4. グロームス腫瘍
5. モートン神経腫

解答
1.×手や足の腱鞘に生じる良性腫瘍 T1低T2低
2.×土踏まずにある足底腱膜にできる良性腫瘍
3.×骨や軟部組織に発生せる肉腫。小児や若年者に多い
4.×手足の指に血流の調節を行うグロムス器官というものがあり、グロムス腫瘍はそこから発生し爪下によくできる。第19-33
5.○足趾の神経が足の骨に挟まれることで神経が障害され疼痛などを引き起こす。第2趾-第3趾、第3趾-第4趾の間に多い。

問題 37 医療機器及びその他品目の MR 環境における安全のための表示に関する標準実施要領に関する JIST62570(2018年)について正しい組み合わせはどれか。

1. ア:MR 適合 イ:MR 非適合 ウ:MR 条件付適合
2. ア:MR 条件付適合 イ:MR 非適合 ウ:MR 適合
3. ア:MR 非適合 イ:MR 適合 ウ:MR 条件付適合
4. ア:MR 適合 イ:MR 条件付適合 ウ:MR 非適合
5. ア:MR 条件付適合 イ:MR 適合 ウ:MR 非適合

解答
1.×
2.○標識まとめ
3.×
4.×
5.×

問題 38 JIS Z 4951:2017 について正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. 全身 SAR の通常操作モードは 4 W/kg 以下である。
2. MR コンソールに表示されている B1+rms は 5 秒間の平均予測値である。
3. 第一次水準管理操作モードでの全身 SAR 上限値は、周囲温度に依存しない。
4. 第一次水準管理操作モードでの静磁場強度の上限は、4 T から 8 T に引き上げられた。
5. 頭部 SAR の上限値は、通常操作モード、第一次水準管理操作モードともに 3.2 W/kg である。

解答
1.× 2W/kg モード
2.×10秒間
3.×依存する
4.○
5.○

問題 39 JIS Z 4951:2017 について正しいものはどれか。2 つ選べ。

1. PNS 上限値の決定方法として直接決定による方法とデフォルト値による方法の 2 通りがある。
2. 長時間 MR 検査の比吸収エネルギー上限値は MR 検査当たり 240 W・min/kg に制限されている。
3. MR 装置は架台内の患者の位置で 99 dB より高いピーク音圧レベルの騒音を生じてはならないと規定されている。
4. RF 送信モードについて、操作者が望めば、円偏波 RF を使用する場合は LP という表示を確認することができる。
5. MR 条件付適合植込物を装着した患者を撮像する場合は、操作者が植込物に応じた上限値を設定できるオプションをつけるように定められた。

解答
1.○
2.×製造メーカーがそれぞれ行うリスクマネジメントによって決定する。240 W・min/kgはJIS Z 4951:2012のとき。
3.×140dBより高いピーク音圧レベルの騒音を生じてはならない 騒音
4.× CP(Circularly Polarized)
5.×FPO
2つ選べだが正しいものは1つか

問題 40 磁気遮蔽について正しいのはどれか。

1. RF 磁場は導電体で覆うと遮蔽できる。
2. 遮蔽された静磁場内の均一性は低くなる。
3. 能動遮蔽を行うと超伝導磁石近傍の磁場勾配が低くなる。
4. 能動磁場遮蔽コイルの通電は静磁場コイルと同方向に行う。
5. 受動磁気遮蔽には透磁率・保持力が共に高い材料が適している。

解答
1.○ 銅、アルミ、ステンレス、亜鉛鉄板などの導電性の高い材料で電波を反射させ遮蔽する。
2.× 高くなる
3.× 高くなる
4.× MRI室周囲の外乱磁気ノイズを磁気シールドで遮蔽しきれない時、アクティブキャンセラーより磁気ノイズと逆位相の磁場を発生させて打ち消す。
5.× 透磁率は高い方が良いが、保磁力が高いと磁化され続けてしまうため、透磁率が高く保磁力の低い軟磁性材料が適する。ケイ素鋼鉄、純鉄など。
能動:アクティブ 受動:パッシブ

問題 41 Ice water ファントム(0℃)の ADC[×10-3mm2/s]値として最も近い値はどれか。

1. 0.11
2. 0.55
3. 1.1
4. 5.5
5. 11

解答
1.
2.
3.○
4.
5.

問題 42 QD コイルについて正しいのはどれか。

1. SAR は LP コイルの√2 倍になる。
2. SNR は LP コイルの√2 倍になる。
3. 二つのコイルを平行に配置する。
4. コイルの負荷は LP コイルより大きくなる。
5. 片方のコイルに流す電流の位相を 180°遅らせる。

解答
1.× 1/2
2.○
3.×直角
4.×小さくなる
5.×90°

問題 43 患者を漏えい静磁場による傾斜部分から磁石内に搬送するときの許容される動きの速度は、患者への最大 dB/dt値が何 [T/s]を超えないように制限しなければならないか。

1. 1
2. 2
3. 3
4. 4
5. 5

解答
1.×
2.×
3.○
4.×
5.×

問題 44 傾斜磁場出力の上限値について正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. 通常操作モードでは、PNS しきい値レベルの 80%を超えないレベルで作動しなければならない。
2. 通常操作モードでは、心臓刺激しきい値レベルの 80%を超えないレベルで作動しなければならない。
3. 第一次水準管理操作モードでは、PNS しきい値レベルの 100%を超えないレベルで作動しなければならない。
4. 第一次水準管理操作モードでは、心臓刺激しきい値レベルの 100%を超えないレベルで作動しなければならない。
5. 第二次水準管理操作モードでは、倫理委員会による同意書が取得され上でその研究用プロトコルで撮像を行うのため、基本的に PNS や心臓刺激についての規制はない。

解答
1.○
2.×
3.○
4.×
5.×全操作モードにおいて①心臓刺激(心細動)を防がなければいけない②耐えられない末梢神経刺激の発生を最小にしなければいけない
モード

問題 45 第一次水準管理モードで全身 SAR の上限値は周囲温度が 25℃で 4 W/Kg である。周囲温度が 33℃の場合の上限値は何 [W/Kg]になるか。

1. 1
2. 2
3. 3
4. 4
5. 5

解答
1.
2.○ 各操作モードの上限値は周囲温度が25℃以下であることを想定して決められており、周囲温度が1℃上昇するごとにSARは0.25W/kg下げることが望ましいとしている。 モード
3.
4.
5.

問題 46 ASTM 基準の MR 適合試験のうち静磁場の磁束密度に関連した方法はどれか。2 つ選べ。

1. F2182(発熱)
2. F2052(変位力)
3. F2213(回転力)
4. F2503(マーキング)
5. F2119 (アーチファクト)

解答
1.×
2.○選択肢1〜5の5項目がMR適合性規格だが磁束密度に関連するのは2,3
3.○
4.×
5.×

問題 47 尿中と糞中の両方に排泄される MR 造影剤はどれか。

1. ガドブトロール製剤
2. 超常磁性酸化鉄製剤
3. 塩化マンガン四水和物製剤
4. ガドキセト酸ナトリウム製剤
5. クエン酸鉄アンモニウム製剤

解答
1.×製品名:ガドビスト 尿中
2.×製品名:リゾビスト 糞中
3.×製品名:ボースデル 糞中
4.○製品名:EOB・プリモビスト 39%糞中 57%尿中
5.×製品名:フェリセルツ 糞中

問題 48 「MRI 検査時の鎮静に関する共同提言(2020 年 2 月 23 日 改訂版)」について正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. どの鎮静薬も危険である。
2. 鎮静担当医も読影行為を行う。
3. パルスオキシメーターは換気のモニターである。
4. 鎮静の深さに応じた安全基準を設けることの意義は大きい。
5. モニターの有無は問わず、とにかく監視をすることが重要である。

解答
1.○
2.×行わない
3.×酸素化のモニター
4.×鎮静レベルは連続していて境界ははっきりしておらず、レベルごとに安全基準を設ける意義は小さい。
5.○
MRI検査時の鎮静に関する共同提言

問題 49 令和元年 8 月 1 日付け薬生機審発 0801 第 1 号、薬生安発 0801 第 4 号厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長、医薬安全対策課長連名通知「植え込み型医療機器等の MR 安全性にかかる対応について」の安全性評価として相応しい規格はどれか。

1. IEC
2. JIS
3. JSA
4. ASTM
5. NEMA

問題 50 「肝 MR エラストグラフィ撮像・管理指針(2022 年 3 月 23 日 日本医学放射線学会理事会承認)」について正しいのはどれか。2 つ選べ。

1. 1.5 T もしくは 3 T の装置で撮像する。
2. 臨床で使用するにあたり、事前に 1 名以上のボランティア撮像を行う。
3. 専用の加振装置の定期的な点検などを磁気共鳴専門技術者が 5 年に 1 回以上確認を行うこと。
4. 肝 MR エラストグラフィ画質管理者は画質の管理とともに、他の施設との互換性を担保し、標準的な保険医療を目指すことが望まれる。
5. 肝 MR エラストグラフィ画質管理者を磁気共鳴専門技術者あるいはそれに準ずる者、放射線診断専門医、および肝臓専門医の中から 1 名定めること。

解答
1.○
2.×事前に5名以上のボランティア撮像を行う
3.×磁気共鳴専門技術者あるいはそれに準ずる者が1年に1回以上確認を行うことが望ましい
4.○
5.×「磁気共鳴専門技術者に準ずる者」は無し
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