EPIについの問題です。
問題
SE-EPI 型拡散強調画像シーケンスについて、正しい文章を解答して下さい。
a.FOV を変えない場合、位相エンコード数によって画像歪みに変化はない。
b.画像歪みを改善するために受信バンド幅を狭くした。
c.MPG による画像歪みは起こらない。
d.受信バンド幅に関係なく実効 TE を短縮すると画像歪みは低減する。
e.拡散測定時間は ADC 値に影響を与える。
解答
a,e
解説
EPI
EPIは各ある撮影の中でも最も早い撮影で超高速で撮影することが出来ます。
デメリットとして磁化率にとても弱く、アーチファクトの多い画像になりやすいです。また空間分解能も低く、画質の面では他の撮影に劣る部分が多いです。
これらの理由は撮像原理にあり、まず90°-180°パルスを照射し、磁場勾配を高速に反転してエコー信号を取得します。
この方法のおかげで高速に撮影できるのですが、位相差がずっと蓄積されるので位相方向に化学シフトアーチファクトが大きく出現します。(SEやGREは周波数方向に出現)
また、位相の乱れに敏感となってしまい磁化率や磁場の不均一に伴う影響を受けやすくなってしまいます。
EPIの歪みに関して
EPIの歪みについてとても分かりやすく研究されている文献があります。”EPIにおける画像の歪みに影響する撮像パラメータの検討”という文献でこの記事を書く前から何度か拝見していました。
文献の内容を摘んで書き出すと、
長方形FOV:位相エンコード数が減少するほど歪みが減少
SENSE:位相エンコード数が減少するほど歪みが減少
SENSE:リダクションファクター大きくするほど歪み減少
長方形マトリックス:周波数方向のマトリックス数が増えるほど歪みは大きい(位相方向の分解能には無関係)
ハーフスキャン:位相エンコード数による影響なし
マルチショット:ETLが少ないほど歪みが減少、シングルショットで一番歪み大きい
TE:影響なし
FOV:大きいほど歪みも大きい
b値:大きさや印加方向による影響なし
もう少しまとめて、暗記しやすくします。本当は原理を知った上で覚えるのがいいのですが長くなりますのでご了承ください。
影響なし | 数値を大きくすると歪み大 | 数値を小さくすると歪み大 |
TE b値 ハーフスキャン 位相方向の分解能 | 周波数方向の分解能 ETL FOV | SENSEのリダクションファクター |
ここで位相エンコード数について注意です。
ハーフスキャンでは位相エンコード数に影響せず、SENSEや長方形FOVでは影響しています。
文献によると周波数エンコードグラディエントGfと位相エンコードグラディエントGpの強度や印加時間と関係しているそうで歪み係数の式を定義していました。
Distortion coefficient(Dc)=T÷V
Dc:歪み係数、T :Gfの印加時間、V :Gpの面積
エンコード数とは直接関係ないようです。
問について
a、変化ありません。
b、文献ではサンプリング時間で歪みを定義できないと報告されています。その他報告ではサンプリング時間短縮が歪み低減に貢献するというものもあり少し迷ってしまいます。ちなみにBWとサンプリング時間は逆数です。BW=1/Ts
どのみち問ではBWを狭くする=サンプリング時間延長なので×だと思われます。
c、MPGの変化により渦電流が変化し少なからず影響を及ぼすと思います。
d、TEには影響されません。
e、ここだけ歪みについてではありませんが、測定時間はADCに影響します。
まとめ
EPIについてですが特に歪みについての問題でした。
なかなか参考書に歪みを詳しく書いてるものは少なく、研究などで報告されているものからの勉強になると感じました。
ですが歪みに関しては数回出題されているので覚えておきましょう。特に歪みに影響しないものを覚えておくのが大事かと思います。
参考書籍・文献
室伊三男・神谷 陽・本田真俊・堀江朋彦、EPIにおける画像の歪みに影響する撮像パラメータの検討、日本放射線技術学会雑誌(63 巻 1 号)2007(91-96)
など
解答に関して、今まで培った知識や書籍・文献を参考に導出したもので、私の認識不足により間違っている可能性もございます。ご理解いただいた上でご参考ください。
MRI認定試験の合格を目指している方のお手伝いができればと思っています。
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