MRI認定試験過去問解説 第5回-14【GRE】

GREについの問題です。

目次

問題

GRE 法(FE 法)について、正しい文章を解答して下さい。

a.RF スポイリングによるスポイルド GRE 法はグラディエントスポイリングと比べ、TR を短くできるのが特徴である。
b.コヒーレント GRE 法において、リワインダーグラディエントが機能しないとFLASH Band が顕著に現れる。
c.エルンスト角(αE)はcosαE =exp(-T1/TR)で求められる。
d.バランスド SSFP では 1TR 内の傾斜磁場による位相分散が 0 になるので、RF の位相が多少不正確でも問題ない。
e.バランスド SSFP ではダミーパルスの印加方法、印加数により画像コントラストが変化する。

 

解答

a,b,e

解説

GRE

信号を得るにはまず90°励起パルスを照射した後に発生するFIDを何かしらの形で再収束させる必要があります。

SEは180°パルスを使いますがGREは磁場勾配を使います。

そのためGREではT2*減衰します。

また、特徴の一つとしてTRを短くすることが容易です。
SEではTR(90°励起パルスから次の90°励起パルスまでの間)がじゅうぶんに長いため縦磁化は完全に回復していましたが、GREではTRが短いため縦磁化が回復する前に次の励起パルスを照射することとなります。
そのままTRを重ねるといずれ一定の値に固定されます。
これを定常状態と言います。
※GREの励起パルスは30°とか50°とか任意で決められます。

ここで、TRが十分に長ければ次のRFパルスまでに横磁化が減衰して無くなりますが、TRが短くなると次のRFパルスまで横磁化が残ることとなります。

横磁化が残存するほどパルスが短間隔であると様々なエコーが発生することとなります。

それはHEやSTEといったSE系のエコーです。

SE(スピンエコー)は90°励起パルス-180°再収束パルスで発生しましたが、HE(ハーンエコー)は再収束に180°以外のパルスを使って得られる信号です。
またSTE(スティミュレイテッドエコー)は三つのパルスを用いて得られる信号となります。

話を戻して、パルスが短間隔になることで横磁化だけではなくSEも混入します。

さらに間隔を短くすることでFIDとSEが融合したSSFP(定常状態自由歳差運動)という状態となります。

スポイル

GREは大きく分けて2種類に分類されます。

①先ほどの横磁化を消去し定常状態にしないで撮像する方法・・・スポイルドGRE、別名インコヒーレントGRE。
②横磁化は保ちSSFPにして撮像する方法・・・コヒーレントGRE、別名アンスポイルドGRE。

ややこしいのでまとめますと、

スポイル(spoil)とはダメにするという意味があるので、横磁化をダメにして(消去して)撮像するということでしょうか。
コヒーレント(coherent)は位相の揃ったという意味があるので、横磁化を分散せずに撮像するということだと思います。

ここでスポイルドGREについてですが、スポイルの方法にRFを用いたRFスポイリングと磁場勾配を用いたグラディエントスポイリングの2種類があります。

詳細は改めて別な機会に説明しますが、RFスポイリングは励起RFの位相をTRごとに変えて横磁化を消去し、グラディエントスポイリングは信号取得と励起RFの間で位相方向とスライス方向のグラディエントを組み合わせて横磁化を消します。

それぞれ特徴があるのでまとめます。

グラディエントスポイリング
スライス面に制限がある。グラディエントをたくさん使用するため渦電流の影響がある。TRが長くなる。

RFスポイリング
グラディエントスポイリングよりも確実性が高い。スライス面の制限はない。

通常はRFスポイリングが使用されているそうです。

FLASH band

フラッシュバンドとはアーチファクトの一つであり位相分散帯とも呼ばれます。

周波数方向に伸びる高信号であり、生じる場所はFOVの中心で一番強く他に位相の端など数本現れます。

原因は残留横磁化であり、横磁化が大きくなるともちろんフラッシュバンドも強く現れることになります。
そのため、フリップ角が大きいほど、T2の長い組織ほど目立ちます。また、sequential orderの方が目立ちます。

↑ここは認定試験で出ますのでチェックした方がいいです!

sequential order:k-spaceの埋める順番のことで端から埋めるものです。別名linerなどとも呼ばれます。これと対象に中心部分から埋めるのをcentricと呼ばれます。

リワインダーとはフラッシュバンドの対策のために位相方向にかけるグラディエントのことです。またコヒーレントGREでは横磁化の再収束の役目もします。

エルンスト角

GREでは励起パルスに90°パルスではなく90°以下のα°パルスが用いられます。

それはTRが短いためで90°だと回復し切らないうちにまた励起パルスで倒されるからですね。

 

TRがT1よりもじゅうぶんに長ければ90°パルスがもちろん良いのですが、TRの短いGREではフリップアングルをいくらにすればSN良く撮像出来るか迷います。その角度を知れるのがエルンスト角です。

αEがエルンスト角となります。

balanced SSFP

FIESTAやTrue FISPなどと呼ばれているものです。

信号強度がT2/T1にほぼ比例するため、強いT2WIに使えます。

また心臓の検査やイレウスの場所特定のためのシネなどでも用いられます。

この撮像には条件があり、引用すると

①RFの位相が正確である
②磁場勾配が正確に相殺されている
③静磁場B0の均一性が高い
④被写体が静磁場に入った状態でのシミングが正確である
⑤TRを数ミリ秒程度まで短縮できる

MRI完全解説

があげられます。

ダミーパルスは水と脂肪の信号の定常状態をコントロールするそうなので、画像コントラストに影響を与えると思われます。

まとめ

GREについてですが完全には説明しきれませんでした。

後半になるにつれて説明が雑になってきていると思います。

また機会があれば追記していきます。

試験についてですがGREの問題は出題される可能性は高いと思います。過去の傾向ではある程度決まった問題が出ていて暗記でどうにかなりそうでしたが(スポイルの話やエルンスト角の話)、今後は応用がきそうなので理解するべきかなぁと考えています。

臨床にはモロにつながるものなので勉強しておいて損はないと思います。

参考書籍・文献

MRI完全解説第2版 P239

 

解答に関して、今まで培った知識や書籍・文献を参考に導出したもので、私の認識不足により間違っている可能性もございます。ご理解いただいた上でご参考ください。

MRI認定試験の合格を目指している方のお手伝いができればと思っています。

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