今回は前の続きでピークの読み方についてです。
代謝物のピーク位置や病変によるピークの上昇・低下を覚えなければなりません。
しょーもないゴロ、連発します。
過去問からの出題
第6回-40
第6回-40
右図に示す頭蓋内腫瘍プロトンMRS(PRESS法 TR/TE=2000/35)の説明に ついて、正しい文章を選択してください。(正解2つ)
1.脂質(Lipid)ピークが高いので組織壊死、炎症を疑う。
2.乳酸(Lactate)のピークが低いので代謝異常を疑う。
3.クレアチン(Creatine)のピークが高いので腫瘍を疑う。
4.コリン(Choline)のピークが高いので細胞活性の高い腫瘍を疑う。
5.N-アスパラギン酸(NAA)のピークが高いので神経源性の腫瘍などを疑う。
図は右端を0ppmとして、左に0.2ppm刻みでMRSを表しています。
a.○
b.×乳酸は正常では観察されません、高い時に異常を疑います。
c.×腫瘍の場合減少します。
d.○です。
e.×
第8回-6
第8回-6
前立腺 MR 検査について正しい文章を選択してください。
2.前立腺がんの MRS は乳酸とコリン(Choline)で評価する。
2.×クエン酸とコリンで評価し、前立腺がんがあるとクエン酸が低下しコリンが上昇します。
第8回-9
第8回-9
次に示す頭蓋内腫瘍プロトン MRS(PRESS 法 TR/TE=2000/35)の説明について 正しいものを選択してください。(正解 3 つ)
1.アラニン(Alanin)のピークが確認できるので髄膜腫を疑う。
2.クレアチン(Creatine)のピークが大きいので悪性腫瘍を疑う。
3.コリン(Choline)のピークが大きいので細胞活性の高い疾患を疑う。
4.乳酸(Lactate)のピークが確認できるので代謝異常や悪性腫瘍を疑う。
5.N-アセチルアスパラギン酸(NAA)のピークが確認できるため神経細胞由来の腫瘍などを疑う。
1.○です。
2.×腫瘍があった場合増加はせず変動するとしたら減少。クレアチンは変動が少ないためその他信号の比較の基準として使われる
3.○です。
4.○です。
5.×ピークは認められるが上昇してはいないと思います。
第9回-6
第9回-6
第8回-6と同問
第10回-7
第10回-7
第8回-6と同問
第10回-24
第10回-24
MR スペクトロスコピー(MRS)について、正しい記述を選択してください。(正解 2 つ)
1.Cr(クレアチン)は病的な状態に敏感である。
2.Lactate はエネルギーの代謝障害が起こると低下する。
3.Cho(コリン)は細胞増殖や破壊の亢進が起こると上昇する。
4.NAA(N-acetyl-aspartate)は神経細胞障害や発達障害が起こると上昇する。
5.ppm(parts per million)表記では、化学シフトの差が静磁場強度に依存しない普遍的な定数となる。
1.× 比較的安定したピークで変動は少ないです。
2.×上昇します。
3.○です。
4.×低下します。
5.○です。
第11回-12
第11回-12
第8回-6と同問
第11回-24
第11回-24
第10回-24と同問
第12回-16
第12回-16
1H-MRS について正しい文章を選択して下さい。(正解 2 つ)
- NAA は正常ニューロンの指標である。
- コリン(Cho) は悪性腫瘍で上昇する。
- 乳酸(lactate)は虚血領域で低下する。
- 脂質(lipid)は放射線壊死領域で低下する。
- Cho/NAA(N-acetyl-aspartate)は悪性度診断に有用である。
1.○です。
2.○です。
3.×上昇します。
4.×上昇します。
5.○です。
正解は3つに思われます。
第12回-48
第12回-48
正しい文章を選択して下さい。
4.脳梗塞の虚血中心は 1H-MRS で lactate の上昇を確認できる。
4.○です。
第13回-19
第13回-19
Proton MR spectroscopy(MRS)に関する正しい記述はどれか。(正解 2 つ)
1. 乳酸(lactate) は虚血で上昇する。
2. コリン(Cho)は多発性硬化症で上昇する。
3. 放射線壊死のような病態では脂質(lipid)が低下する。
4. Cho/NAA の上昇は悪性腫瘍に高い感度と特異度を示す。
5. NAA(N-acetyl-aspartate)はびまん性軸索損傷で上昇する。
1.○です。
2.○Cho、Cr、mInsなどは上昇、NAAは低下、慢性期ではmInsとNAA以外正常化します。
3.×上昇します。
4.×感度は高いが特異度は低いです。
5.×低下します。
第14回-25
第14回-25
ProtonMRspectroscopy(MRS)に関する正しい記述はどれか。2つ選べ。
- 肝性脳症はグルタミンが低下する。
- 脳虚血は乳酸(lactate) が低下する。
- 多発性硬化症はコリン(cho)が上昇する。
- 放射線壊死のような病態では脂質(lipid)が上昇する。
- びまん性軸索損傷は NAA(N-acetyl-aspartate)が上昇する。
1.×上昇します。
2.×上昇します。
3.○です。
4.○です。
5.×低下します。
まとめ
各ピーク
脂質(lipid)
0.9ppmと1.2ppmに広いピークを認めます。正常ではごく少量のピーク。
腫瘍、虚血壊死、脱髄でピークは上昇し壊死では必ず認められます。
*素質がある脱獄した絵師を食いつないでいく*
脂質、脱髄、壊死、0.9ppm、1.2ppm
乳酸(lactate)
1.33ppmを中心とした2本のピーク。正常では観察されません。
酸欠状態になると嫌気性代謝(解糖)が進み検出されます。
脳梗塞や成長速度の早い腫瘍、炎症性疾患、代謝障害で上昇します。
*ISSA動きすぎで酸欠なって乳酸溜まる*
1.3ppm、酸欠、乳酸
アラニン(Ala)
髄膜腫によって1.5ppmにピークが観察されます。
*アラジン、苺ずいぶん持ってるね*
アラニン、1.5ppm、髄膜腫
N-acetylaspartate(NAA)
正常で2.02ppmにピークが認められます。
神経系に高濃度に存在し、グルタミン酸に次いで多いフリーアミノ酸です。
ニューロンに多く存在するためNAAの低下はニューロンの消失や軸索障害を反映していると考えられます。
脳腫瘍や脳虚血でNAAが低下することは神経細胞の脱落や障害を示唆します。
多発性硬化症(MS)では低下します。
びまん性軸索損傷では低下します。
Canavan病では上昇します。
*なーーに?今日出張!?まじまんじサガる、えっカナダ?アガる*
NAA、2ppm、虚血、腫瘍、MS、びまん性軸索損傷低下、Canavan病上昇
クレアチン(Cr)
MRSではクレアチン(Cr)とホスホクレアチン(P-Cr)を分離することができず総クレアチンと(t-Cr)して3.03ppmと3.91ppmにピークが観察されます。
脳内において全ての細胞に存在しエネルギー代謝の指標となります。
P-Crは代謝されるとCrとなるためt-Crとして観察すると量は変わらないため代謝物評価にはt-Crを分母とした比を用います。
脳腫瘍の場合絶対量が減少することが多いです。
ただし変動が少ないことからその他ピークの比較に用いられることが多いです。
多発性硬化症(MS)では上昇します。
*33(サザン)が9(キュウ)個のエクレアをまずあげよう*
3ppm、3.9ppm、クレアチン、MS上昇
コリン(Cho)
正常でも3.22ppmにピークを認めます。
細胞膜の主な構成物質であるため、Choピークは細胞膜の分解と合成の指標となります。
発達している哺乳類の脳では誕生期に高くしだいに低下します。
腫瘍組織で増加し、脳梗塞慢性期で低下します。
多発性硬化症(MS)では上昇します。
*サニクリーン、出張でモビルスーツ着て上昇、しかし高速で落下*
3.2ppm、コリン、腫瘍・MS上昇、脳梗塞低下
グルタミン(Glx)
グルタミン(Gln)とグルタミン酸(Glu)は脳に多く存在するアミノ酸であり2.1〜2.5ppmと3.7〜3.9ppmに分布しますが、シャープなピークは認められません。
この二つは分離が困難なために合わせてGlxとして扱います。
体内で作られたアンモニアは筋肉や肝臓でGlxに変換されますが、肝臓が障害されると脳内でのGlxの生成が増えます。
そのため肝性脳症や低酸素脳症ではGlxの上昇が認められます。
リー症候群、副腎白質萎縮症、HIV患者でも上昇します。
*グミ完成したってさ、みんなサンキュー、兄ちゃん2個あげる
グルタミン、肝性脳症、低酸素脳症、3.7〜3.9ppm、2.1〜2.5ppm
イノシトール(Ins) (myo-inositol(mI))
3.6ppmにピークが認められます。
疾患による変動が最も大きく重要なマーカーです。
肝性脳症では低下します。
痴呆やアルツハイマーでは増加します。
*歓声のない猪木は寒い地方でがんばってる*
肝性脳症低下、イノシトール、3.6ppm、痴呆上昇
ピークの比較
Cho/NAA
腫瘍性疾患において悪性度とよく相関します。
また悪性腫瘍に対し感度は高く、特異度は低いです。
NAA/Cr
神経細胞の脱落・変性の評価に用いられます。
脳梗塞、変性疾患で減少します。
多発性硬化症(MS)
出題
第6回-40,第8回-6,第8回-9,第9回-6,第10回-7,第10回-24,第11回-12,第11回-24,第12回-16,第12回-48,第13回-19,第14回-25
参考文献・書籍
MRSの基礎から臨床まで
Single voxel proton MR による脳病変の診断
MR撮像技術学 P329
コメント