用語
髄鞘:神経細胞の電気活動を安定化させる。
髄鞘化は20歳くらいまで続く。
解説
髄鞘
髄鞘(ミエリン鞘)とは神経細胞の軸索のまわりを何重にも包み込む、脂質に富んだ膜構造のことです。
髄鞘は絶縁体として働き、神経細胞の電気活動を安定化させます。
また、髄鞘と髄鞘の間をランビエ絞輪と呼び、跳躍伝導というメカニズムによって神経伝達を高速化(100m/s)しています。
もし髄鞘がなければ1~2m/sほどの神経伝達スピードと言われております。
脱髄疾患はこの髄鞘が消失するもので、神経信号がうまく伝達できなくなるため、四肢のしびれなどさまざまの神経症状が出る病気です。
髄鞘形成
脳は生まれた時から完成している訳ではなく、髄鞘は徐々に形成されていきます。
視覚などに関する錐体路や視放線の髄鞘化は生後すみやかに進行し 1 歳までには完成しますが、高度な認識をつかさどる前頭葉においては思春期以降も進行し、20歳ぐらいまで髄鞘化が続くといわれています。
MRIによる髄鞘化の観察
髄鞘化の関係で新生児と成人の脳MRIの信号パターンは逆になります。
髄鞘の成分の7~8割は脂質で、残り2割ほどはタンパク質で構成されています。
髄鞘化が進むと白質の水分は減少し、脂質やタンパク質が増加します。
すると上図のように、T1は低信号から高信号に。T2は高信号から低信号へと変化します。
この変化は同時ではなく、T1の方が数ヶ月先行して観察されます。
問題
15-2) 正しい記述はどれか。2つ選べ。
- 基底核や視床は灰白質である。
- 下垂体は血液脳関門が存在する。
- 脳の髄鞘化は2歳までにすべて完了する。
- 高濃度酸素を投与していると SWI(susceptibility-weighted imaging)で静脈を過大評価することがある。
- 高濃度酸素を投与していると FLAIR(fluid-attenuated inversion-recovery)で脳溝が高信号になることがある。
1.○
2.×存在しない部位:松果体、下垂体後葉、視床下部、最後野、脈絡叢など。
3.×髄鞘化(ミエリン化)は20歳程度で完成する。
4.×静脈内のデオキシヘモグロビン濃度が低下し過小評価となる。
5.○
15-3) 正しい組み合わせはどれか。2つ選べ。
- 肝細胞 ——– 貪食細胞
- 肝区域 ——– Couinaud の分類
- クッパー細胞 —– 胆汁生成
- ミエリン鞘 ——- 肝動脈,門脈,胆管
- 肝右葉と肝左葉の境界 – Cantlie 線
1.×貪食細胞:マクロファージ
2.○クイノーの分類:門脈の分枝を元にS1〜S8の区域に分類
3.×クッパー細胞:肝臓内の組織マクロファージ。胆汁は肝細胞で生成される。
4.×ミエリン鞘(髄鞘):神経細胞(ニューロン)の軸索の周りに存在。グリソン鞘:肝小葉を区画する結合組織、小葉間動脈、小葉間静脈、小葉間胆管が並ぶ。
5.○Cantlie 線:胆嚢底と下大静脈を結ぶ線
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