MRI認定は取得するのが難しい資格です。
それなりに時間、労力、お金を費やす必要があります。
この資格は取得することで何かメリットがあるのか、、
MRI認定を取得する意味について考えてみました。
MRI認定技師というものについて
MRI認定技師とは
MRI認定技師とは、正しくは『磁気共鳴(MR)専門技術者』と言い、
MRI撮像技術の標準的なレベルアップ・最先端技術をリードする技術者の育成・MRI検査の医療安全を維持する。
こんなところが役割となっています。
しかし取得したからといって認定機構からなんらかの任務が降りてくる訳でもなく、また特別にできることが増えたり具体的な利益はありません。
そのうえ、受験に1万円、合格した場合は登録料に1万円がかかりますし、他にも学会へ所属している必要があったり受験準備などそれなりのお金と時間がかかります。
じゃあMRI認定資格っていらなくない?
苦笑いしかできません。
MRI認定技師は国家資格ではないので業務独占資格ではありませんし、必置資格でもありません。
※業務独占資格:その資格を有する者でなければ携わることを禁じられている業務を独占的に行うことができる資格。
※必置資格:ある事業を行う際にその企業や事業所にて特定の資格保持者を必ず置かなければならない資格。
そのため職場である病院や企業も必要に迫られることはないため、
必ず誰かしらが取得しなければならない資格ではありません。
披露する場所もないし世間的に有名でもない
先ほども言ったように独占して行える業務が増える訳ではないため、端から見て持っているかどうかは全くわかりません。
そう、持っていても何も披露する場所がないのです。
自分から「MRI認定資格持ってるんだ」と言ってもいいのですが、聞いている方からすると「・・だから?」となるだけなので。
またそこそこ難易度がある資格なため聞く人によっては嫌味に感じるところも最悪です。
さらにはマイナー資格であるために技師以外にはあまり自慢にもなりません。
取得するのが難しいんだとどれだけ熱く語るか、その熱量以外に相手に伝えるものは何もありません。
人は何故取得するのか
それでは何故こんな資格を取得するのでしょうか。
自分のため
よく言われるやつです。
自分のため。勉強になるから。
本当にその通りです。これが割と本質かもしれません。
これだけメリットが薄そうな資格なため自分から取ろうとしない限り取れないと思います。
職場によっては目標達成によるボーナス追加のためにという理由もありますが、かかる労力と費用が見合いません。
そう考える方も結局それは付加価値であり、自分のためにというところがあると思います。
箔が付く
周りから認められて一目置かれるということです。
こちらの理由は自分のやる気を保つことになると思います。
自分の勉強のためにという理由だけでは頑張りを続けていくことがとてもしんどくなります。
受かっても落ちても自分のためにはなっていますから。
下心ではありますがこの周りから認められるというのも大きな理由となります。
転職やステップアップに
割と考えている人が多いのではないでしょうか。
世間的にはマイナーな資格ではありますが技師間ではかなり有名であり、この資格を持っていることで努力できるあるいは勉強ができる人材だと思ってもらえます。
転職の際には有利に働く可能性がありますし、配属先にMRI部門を希望できるかもしれません。(嫌いでなければ)
また、転職を希望しないとしても昇進につながる可能性はありますし、労力とお金を注いでもバックがそれ以上になる見込みは十分にあります。
実際に取得したら
知識量の増加
取得して思うのが知識が増えたということです。
例えば、MRIを撮像していてモーションアーチファクトが出現した時。時間を極端に短くして撮像してしまうか、NEXを増加させてしっかり撮像するか。スワッピングによるアーチファクトの移動を計るか、様々な対処法があります。
これは一例ですが何か不都合が生じた時に、それらを対処するための選択肢をさらに考えることができるようになったと思います。
また撮像技術だけでなく所見や解剖にも強くなるために全体的なMRI戦闘力の向上が実感できました。
後輩から聞いてもらえる
人は必ず歳をとりますので、初めは聞く立場だった自分もいつの間にか聞かれる立場になります。
次第に後輩から質問や相談を受けることが増えてきますがこの時答えられないと仕事での信用が少しずつ失われていきます。
仕事が全てではありませんが、職場で頼りにされなくなるのはかなりきついです。
この資格を取得したら、周囲からは少なくともそれなりの知識はあるだろうと思ってもらえるため、MRIのことなら〇〇先輩に聞いてみなよということになります。
やっぱり相談や質問をされると嬉しいものですね。
実は存在意義がある
専門技師には以下のような存在意義があります。
日本磁気共鳴医学会のガイドラインにある
『前立腺癌の骨転移検出のための全身 MRI 撮像の細則』による全身MRI加算を得るためには機構に画像提出を行わなければならないのですが、
「画像の提出に当たっては、原則として、日本磁気共鳴専門技術者が技術側面から撮像した画像の画質の確認を行い・・・」という一文があります。
また、『臨床MRI安全運用のための指針』においてMRIの安全管理を行うチーム編成が必要なのですが、
「磁気共鳴専門技術者あるいはそれに準ずるものが含まれることが望ましい。」とあります。
『MRI 対応植込み型不整脈治療デバイス患者の MRI 検査の施設基準』によっても
「磁気共鳴専門技術者あるいはそれに準ずる者が配置され、MRI 装置の精度および安全を管理していること。」とされています。
他にはエラストグラフィなどでも必要とされています。
厳密には必置ではないのですが、これは確かな存在意義なのかと思います。
可能性は高くありませんが、今後改正され磁気共鳴専門技術者の必置義務とされれば、重宝されるかもしれません。
まとめ
簡単に資格取得できないうえに、業務独占資格や必置資格ではない。
しかし取る意味は十分にある。それは、
自分の知識向上のため。
技師として認められる。それは転職や昇進にも有利に働く。
安全管理や加算申請のための存在意義。
この記事を読んで少しでも資格取得に挑戦してみたくなったと思っていただけると幸いです。
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